第11話 接触
「敵影確認!MS隊は出撃!」
ルーンの声が響く。
パイロットがMSに乗り込み、出撃していく。
3機のMSを中心にザクUが多数。
マインには見覚えがあった。
「ゼラがいる!」
マインがヴァンと共に前方に向かう。
陸戦型ガンダムをリック・ドムのパーツで改良したようだ。
「マイン!あれは!?」
グィゼルが訊いてくる。
「あれがゼラだ!」
マインが答える。
グィゼルがゼラに急接近し、斬りかかる。
ゼラが受ける。
「ゼラ!」
「その声は・・・グィゼル・・?」
ゼラは落ち着いている。
「何を考えてるんだ!?」
グィゼルが叫ぶ。
ゼラがグィゼルを弾く。
そこにゼラが斬りかかる。
グィゼルが受けようとしたところをゼラが蹴る。
そして、身動きが取れないところに接近する。
「弱いね。」
グィゼルのコクピットにサーベルが突き刺さる。
刺したサーベルを右に振り、機体を爆発させた。
「グィゼルっ!!」
マインが叫ぶ。
ゼラがマインとヴァンの方を見る。
マインとヴァンがゼラに向けてライフルを連射する。
ゼラはその攻撃を回避する。
後ろからエインがビーム攻撃をするが、避けられてしまった。
「何!?なんで避けられる!?」
ヴァンが呻く。
ゼラが斬りかかり、マインが受ける。
「解るのさ、攻撃が来るところが。」
ゼラがマインに言う。
「何が言いたいっ!?」
「ニュータイプってやつさ。」
ゼラは自分がニュータイプだと言った。
マインがゼラを弾く。
ゼラはマインを通り過ぎて戦艦に向かっていく。
マインがそれを追う。
ゼラの機体のディスプレイにマイン達の戦艦が見えた。
ゼラがブリッジの前に飛び出し、ライフルを向ける。
クルー全員が固まる。
ライフルをブリッジに向けた状態で追いかけてきたマインの方を見るゼラ。
それの意味は『動くな』である。
マインの機体が止まる。
「どうするつもりなんだ!?」
マインが困惑する。
ゼラの目的が解らない。
それはゼラの味方のグレスさえ知らない。
ゼラがマインに向き直る瞬間、ルーンがブリッジを飛び出した。
気付かれなかったようだ。
そのままMSデッキに向かう。
そこにあったジムに飛び乗り、そっと外に出る。
艦長のザスィルはルーンに気付いたが、ライフルがつきつけられていてはうかつに動けない。
ルーンの行動を信じるしかなかった。
何故なら、ルーンが飛び出し、ドアがしまった瞬間にゼラ機の頭部がこちらを向いたからであった。
ルーンは慣れない手つきでゆっくりとジムのビームスプレーガンをゼラに向ける。
ゼラに見つからぬように、ルーンからもギリギリでゼラの機体がディスプレイに映る位置で。
「お願い・・・当たってっ!!」
ルーンがトリガーを引く。
そのビームはゼラの機体の右足を貫通し、爆発させた。
この瞬間にマインも動いた。
ゼラの機体の右腕を蹴り上げ、ライフルを手から離れさせた。
「何っ!?」
なんとか戦艦は守られた。
ゼラがビームのとんできた方向に向かう。
そこにいたジムに接触する。
「いい度胸してるな!?」
「きゃっ!?」
ゼラは相手がルーンだと知って驚いた。
しかし、その表情は一瞬で消えた。
ゼラはそのジムの両手両足を切断し、盾にしてマインの前に出る。
「マインっ!」
ルーンが怯えた表情でマインに通信する。
「ルーンっ!?」
パイロットがルーンだということに驚きながら応える。
ゼラが撤退していく。
「待てぇっ!!」
マインがゼラを追う。
2機のザクUがマインの前に出る。
「邪魔すんなぁっ!!」
マインがサーベルとライフルを使い、2機のザクUを同時に撃破し、ゼラの後を追いかける。
リック・ドムがマインの前に現れる。
グレスである。
マインがライフルを撃ちながら接近する。
グレスはその攻撃を避けながらジャイアントバズで反撃する。
マインはそれを避けながら、ゼラを追おうとする。
しかし、グレスが立ち塞がる。
グレスは、ゼラを追いかけるこのMSのパイロットがゼラの憎む相手なのではないか、と思った。
ヒート剣をでマインのサーベルを受ける。
「おまえか!?ゼラの憎むパイロットは!?」
グレスが問う。
「何のことだっ!?」
マインが応える。
グレスは、訊くだけ無駄かと思ったが、訊いた。
普通は、「おまえが憎い」など、面と向かって言うはずもない。
「ジオンに入った理由が、憎い奴が連邦にいる、とゼラが言っていた!」
マインはこの時にあることに気がついた。
この声に聞き覚えがあった。
「その声・・・あんた、オレに、おまえには撃てない、って言ったろ!?」
今度はグレスが驚いた。
「っ!?まさか・・おまえ・・・」
グレスが弾く。
グレスが1つ疑問に思った。
カタスとブライを撃破した奴は誰なのだろう・・・と。
「1つ、訊いていいか?あのあと、オレの仲間2人を撃破したのは・・・?」
「オレだ。」
その答えにグレスが驚いた。
だとすると、弱点を克服したことになる。
「名前は?オレはグレス・ブルーズ中尉。」
「オレはマイン・ゼクロス中尉だ。」
マインが応え、グレスを弾く。
グレスは、ゼラが憎む相手はマインなのだろうと思った。
そして、撤退していった。
それは、ゼラの撤退が不自然だったのが気になったのである。
無傷で半壊したジムを抱えていたゼラ。
何かあるのではないか、グレスはそう感じた。
「くそっ、見失っちまった・・・」
マインも帰艦していった。
MSのレーダーで、ゼラの戦艦を探すよりは、戦艦のレーダーで探すほうがいい。
とにかく、ゼラがコクピットを攻撃しなかったことから考えて、ルーンはまだ死んでいない。
助けたい気持ちを抑えつつ着艦する。
そして、ザスィルと状況の確認を取り、どうするかを考えることにした。
「相手の撤退して行った方向に向かおう。」
ザスィルはそう言った。
レーダーで索敵しつつ、その方向に向かい始める。
「ゼラ・・・一体何を・・・」
マインは、グレスの言った言葉を思い出していた。
ゼラがマインを憎んでいるかもしれないということである。
「ルーン・・・無事でいてくれよ・・・」

ゼラが着艦し、ジムのコクピットに入り、ルーンを独房へ連れて行く。
ルーンを中に入れ、鍵をかける。
「どうにかして出ないと・・・・」
ルーンが逃げる方法を考え始めた。
「ふふ・・・」
ゼラが小さく笑う。
小説トップへ
第12話 ゼラ