第14話 再戦
「敵影確認!MS隊出撃!」
ルーンの声で目を覚ますマイン。
「また出撃か・・・」
マインがベッドから起きてノーマルスーツに着替える。
MSデッキからジムコマンドが出撃していく。
マインがMSデッキに入ると、ガンダム改と新型があった。
「マイン!新型、できてるぜ、ハイガンダム。行きな!」
ディンがマインに向かって言う。
マインは頷くと、ヘルメットをかぶりながら新型のコクピットに向かって壁を蹴る。
コクピットに滑り込んで起動させる。
マインがブーストをかけて出撃する。
「機動力がすごいな!」
マインが機体の加速力に驚く。
「反応速度と機動力を上げてある。性能を上げた分コストが高い、あんまし壊すなよ。」
「わかってるって、戦闘宙域に入るから通信切るよ。」
マインはそう言って通信を終了した。
ザクUと友軍のジムコマンドが戦闘をしている中を突っ切っていく。
ジムコマンドと戦闘しているザクUにビームを放つ。
ふと、見慣れないシルエットが浮かび上がる。
カラーリングはほとんどが黒で、高機動型のMSのようである。
その機体は友軍の攻撃をたやすく回避し反撃で撃破している。
後ろから急接近してきたジムコマンドのサーベルを避け、一瞬のうちにそのジムコマンドの背後に回り、ビームライフルをバックパックに向けて撃つ。
その機体は幻影のように友軍を翻弄していた。
「まさか・・・ゼラかっ!?」
マインにはそのMSのパイロットがゼラだと判った。
相手をあしらうかのような戦い方をしているからである。
マインはそこへ向かってブーストをかけた。
「黒い幻影・・・」
そのジムコマンドのパイロットの中にはシエルがいた。
いつの間にか、ゼラの周りにはシエルしかいなかった。
モノアイがシエルを見る。
シエルの背筋を寒気が走る。
それでも、シールドでコクピットのあるボディを守りつつ、ビームガンをゼラに向ける。
何発か連射するが、全て回避されてしまう。
シールドははずせなかった。
それは、ゼラの攻撃を避けられないからである。
完璧に移動先に攻撃が来る。
黒い機体がシエルに急接近し、サーベルでシールドを切り裂く。
そして、その機体の左手に装備されたビームライフルをコクピットに押し付ける。
「あぁっ・・・」
シエルが怯える。
しかし、そこにガンダム改が飛び込んでくる。
黒い機体はそれに気づき、回避したためにシエルを撃てなかった。
ガンダム改が黒い機体と斬り合う。
「やらせるかっ!」
「その声は・・ヴァンか・・・」
「やっぱりゼラかっ!」
「おまえにオレの攻撃がかわせるか?」
ゼラが微笑しながら言う。
ヴァンが両手にサーベルを持ち、激しく斬りつける。
それを片手のサーベル1本で受けるゼラ。
「ふ・・・この程度か・・」
ゼラのサーベルがヴァンの機体の両腕を切断する。
そして、ゼラがヴァンを蹴り飛ばし、シエルと一直線にする。
「まとめて死ね。」
ビームが放たれる。
そのビームは途中で飛んできたビームとぶつかり、激しい閃光があたりに飛び散る。
ビーム同士がぶつかり合い、相殺したのである。
「何っ!?」
ゼラがすぐにその方向を見る。
ハイガンダム、マインが接近してくる。
マインがヴァンの前に出る。
そして、一気に加速してゼラに斬りかかる。
ゼラがそれを受ける。
「新型か・・・マインだな?」
ゼラが言う。
「やはり、ゼラ・・・!」
「マイン、ここで死んでもらう。このMS−18W、ケンプファーカスタムで葬ってやる。」
ゼラがマインを弾き、ライフルを構える。
放たれたビームをマインはシールドで受ける。
マインもライフルをゼラに向ける。
「当たれぇっ!」
マインの放ったビームはゼラの機体の装甲の表面を溶かした。
回避したゼラの機体のすれすれをかすめたのである。
ビームの粒子が装甲にあたり、細かな振動がコクピットに伝わる。
「何っ・・・」
ゼラの表情がいままでの不敵な笑みから不愉快そうな表情に変わる。
ゼラがライフルを腰の後ろにしまい、ショットガンを両手に持ち、マインに向けて放つ。
シールドで防ぐマイン。
マインがシールドでガードしたまま、ゼラに接近する。
ビームライフルに持ち替え、撃つ。
「っ!」
マインが急に上方向にブーストをかけて避ける。
ゼラが回避先にビームを放つ。
その瞬間にマインが右側にブーストをかける。
「はぁ・・・はぁ・・」
息があがり、緊張感が高まる。
一瞬でも気を抜けば死ぬ。
相手はゼラ一人じゃない。
後ろからと、ゼラの攻撃を回避し、後ろにいたザクUを振り向きざまにライフルで撃破し、すぐにゼラに向き直る。
「まさか・・マイン・・・」
そこに、2機のジムコマンドが来る。
「マイン!オレたちも手伝う!牽制ぐらいならできるはずだ!」
「アクス!クェリア!」
ヴァンとシエルは、両腕を破壊され、戦闘続行は不可能、見ているだけだった。
「今の・・・マイン、見たか・・・!?」
「う・・うん・・・」
ヴァンがシエルに話しかける。
それは、ゼラの攻撃を避けたことである。
アクスとクェリアで牽制し、マインを中心に攻撃する。
「本気でやるしかないようだな・・・・」
ゼラが呟くと同時にライフルを連射しながらアクスに接近する。
ライフルを右足に受け、接近してきたゼラのサーベルで左腕を切断され、右腕を蹴飛ばされバランスを崩す。
そこにクェリアがビームガンを撃つが、回避され、反撃のライフルを右腕に受けてしまった。
マインも攻撃するが、それを回避し、反撃してくる。
マインだけは、回避かシールドでゼラの攻撃をしのいでいる。
ゼラはアクスの機体を蹴って加速し、クェリアの機体を斬りつける。
左腕とボディを少し斬られた。
衝撃はあったが、クェリアは無事だった。
そして、クェリアの機体を蹴ってマインに急接近する。
ゼラのサーベルをマインが受ける。
マインがゼラを弾く。
しかし、あまり吹き飛ばず、すぐに斬りかかってくる。
マインが回避するが、ゼラが追ってくる。
マインとゼラの機体のスピードはほぼ同じだった。
ライフルやサーベルで攻撃し、避けあう。
ケンプファーはシールドを装備してないため、左腕も攻撃に使える。
そのため、ゼラの方が押している。
テクニックで、少しずつゼラが追いついてくる。
追いつかれ、ゼラのサーベルを受けるマイン。
受けた瞬間、ボディを蹴飛ばされ、バランスを崩し、吹き飛ぶ。
そこにゼラがサーベルを持って急接近してくる。
「この状態なら避けられないだろうっ!死ねぇっ!」
サーベルが突き刺さり、貫通する。
しかし、ゼラが突き刺したのはマインの機体ではなかった。
「ア・・・アクス・・・!?」
マインの前に飛び出したのはアクスであった。
「何っ!?」
サーベルはコクピットの中心からやや右にずれていたものの、コクピットにかすっていた。
コクピットのはじに穴が開いて、そこから、ビームが見えた。
「うおおおおお!!」
アクスが右腕のサーベルでゼラの右腕を切断する。
サーベルを持っていた手を破壊したため、突き刺さっていたサーベルのビームが消える。
と、軽い爆発が起きる。
「ちっ・・・命拾いしたな・・」
ゼラがマインに通信する。
「だが次はこうはいかんぞ!」
ゼラはそう言うと撤退していった。
「オレたちも帰還する!アクスはオレが運ぶ!」
そう言ってマインはアクスの機体を抱え、戦艦に向かってブーストをかけた。

着艦し、コクピットから飛び出し、アクスの機体のコクピットに向かうマイン。
コクピットハッチをこじ開け、アクスを外に出す。
軽い爆発を起こしたときのダメージが予想以上に多く、右肩から出血している。
その時にはクェリアが駆けつけて来ていた。
「アクス!しっかりしろっ!」
マインが話しかける。
「っぐ・・・マイン・・無事か・・・?」
かろうじて意識はあるようだ。
「ああ、アクスのおかげで助かった・・・ありがとう・・」
「それなら・・よかった・・・」
「アクスっ!」
クェリアが駆けつけてきた。
「クェ・・リ・ア・・・」
「死なないでよ!アクス!約束したじゃない!」
「・・ごめん・・な・・・」
アクスがクェリアに顔を向ける。
約束、それは、この戦争が終わったら結婚しよう、というものであった。
「クェリア・・・愛してる・・ぜ・・・」
やさしく微笑みながらそう言うとアクスは事切れた。
クェリアが泣き出し、アクスの上に覆いかぶさった。
マインはMSデッキから出た。
「・・・ゼラァっ!!」
壁に拳を打ちつけるマイン。
MSデッキにはクェリアの嗚咽が響いていた。
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第15話 思い