第2話 都市内戦闘
「全く、休む暇ぐらいくれよ。」
ヴァンが呟く。
「オレのGMは?」
「まだ修理中だ。予備のを使ってくれ。」
「わかった。」
ディンに言われ、予備機の陸戦型GMに乗り込むマイン。
次々と部隊のMSが出撃して行く。
マインとヴァンも出撃し、戦場に向かった。
2人が着いた時には既に戦闘が始まっていた。
戦闘場所はさっきと同じく荒廃した都市である。
レーダーがあるとはいえ、ダミーという可能性もある。
崩れかけたビルなどの障害物を利用し、隠れつつ慎重に進む。
レーダー上に1機のMS反応がある。
ビルの端から機体が相手に見えぬように近づく。
相手は移動していないが、こちらに気づいていれば動かずにこちらを狙っている可能性もある。
マインは向こう側に建物があるのを確認する。
そして、シールドでコクピットを守りつつ飛び出した。
レーダー上の反応はダミーであった。
「ダミー!?」
ダミーに対し、マシンガンの弾を2、3発撃ち込んで破壊する。
荒廃しているとはいえ、砂漠みたいになっているわけではない。
戦闘で住民が逃げるなどでいなくなり、建物に流れ弾が当たるなどで半壊している程度である。
人気の無い錆びた都市といった感じである。
民間人がいないため、建物は障害物として利用できる。
相手にも同じことが言えるが。
障害物があるため、どこから狙ってくるかわからない。
そのため、相手の裏をかくためにダミーを設置し、他のところから狙うなどの戦術が必要になる。
マインがレーダーに目を向ける。
また1機、MS反応が映っている。
移動していることから、ダミーではないことがわかった。
反応がマインのいる通りの反対側で止まる。
撃ち合えるところはその道1本分である。
マインも建物の影に隠れる。
緊張感が高まる。
相手が飛び出し、通りにマシンガンを乱射する。
通りに銃弾が降り注ぐ。
マインの機体の隠れている建物の側面にも銃弾がかする。
銃弾が来なくなってから、マインが行動を起こす。
通路に飛び出し、敵機に向かって接近していく。
敵機のザクUがそれに気づき、通路に飛び出し、マシンガンを構える。
「予想通り撃ってくる!」
マインはザクUが通路に飛び出すと同時に建物の側面を蹴り、ジャンプする。
ザクUが通路にマシンガンを乱射する。
銃弾は建物に損害を与えただけで終わった。
空中で照準を合わせるマイン。
ザクUの目の前に着地する瞬間にマシンガンをザクUの頭部に押し付け、トリガーを引く。
ザクUのパイロットが頭部を破壊されたことでひるんだ隙にマインは右肩と左肩に銃弾を叩き込む。
「1機・・・」
マインが呟き、移動し始める。

こちらの通路ではヴァンがザクUと銃撃戦になっている。
建物の後ろに隠れ、飛び出して撃つ。
なかなかあたらず、苦戦している。
ザクUがクラッカーを投げてきた。
それに気づいたヴァンはその場から離れるように移動する。
ザクUがレーダーでそれを確認し、追いかける。
ヴァンも通路で待ち伏せ、マシンガンで反撃する。
ザクUは右肩のシールドを前に押し出し、進んでくる。
シールドに銃弾の跡が残る。
ヴァンの陸戦型GMが後ずさりながらマシンガンを撃つ。
シールドで防ぎながら左腕ではクラッカーを取り出しているザクU。
ヴァンはクラッカーに気づいていない。
「ヴァン!ザクUがクラッカーを持っている!後ろに跳べっ!」
ザスト隊長である。
「了解っ!」
そこでクラッカーに気づき、後ろにジャンプする。
ジャンプした次の瞬間、ヴァンの後ろの方にいたザストがマシンガンを撃つ。
大量には撃たず、少量だったが、クラッカーに当たり、ザクUの左腕を吹き飛ばした。
左腕が爆発したせいで建物に倒れ込む形になる。
そこにザストはマシンガンを浴びせる。
ザクUの機能が停止する。
「よく狙えるな・・・隊長・・・」
ヴァンが呟く。
ザストがいた位置は、ヴァンがザクUにマシンガンを乱射していた時の距離の2倍はあった。
ザスト・ウェイン、別名「蒼い竜巻」。
「相手をよく見るんだ。気を抜くなよ。」
ザストが移動していく。
「オレもまだまだだなぁ。」
ヴァンが頭を掻きながら呟く。

別のところではエイン・ストームが交戦している。
レーダーではビル1つ挟んで背中合わせになっている。
エインがビルの方を向き、サーベルを抜く。
そのサーベルをビルに突き刺し、奥に押し込む。
ビルの反対側で爆発が起こる。
撃破したようだ。
ふっ、と影がエインにかぶさる。
「はっ!」
振り向いたそこにはヒートホークを持ったザクUが飛びかかってきている。
しかし、ザクUがエインを攻撃することは無かった。
ザクUは後ろからのマシンガンの攻撃で、爆発し、吹き飛んだ破片が散らばった。
「大丈夫かエイン!?」
「ヴァンか。大丈夫だ、すまん。」
ヴァンはザクUの後を追ってきたみたいだった。

そして、敵が侵攻してきた方では、クェリア・アースとアクス・グロウの2人が先行している。
「クェリア!そっちにまわった!」
アクスが叫ぶ。
「ど、どこ!?」
建物に背中を預け、周囲を見回すクェリア。
右からMS反応がレーダーに映る。
そちらを向くと、ダミーが飛んできている。
それを陸戦型GMのシールドで叩き落す。
後ろからMSが接近してくる。
例えダミーでも、レーダー上ではMSの反応である。
確認しなければMSなのかダミーなのかわからない。
後ろから近づいてくる反応に気づき、振り向く。
グフである。
「まさか、この部隊の隊長機・・・・・?」
クェリアが呟く。
攻撃しようとマシンガンを構える。
グフがしゃがんだため、照準からはずれる。
「あっ!?」
グフが急接近したかと思った瞬間、衝撃がクェリアを襲う。
「きゃああ!!」
ショルダータックルをくらったクェリア機が押し倒された衝撃である。
ヒートソードを取り出し、突き刺そうとするグフ。
「クェリア!!」
アクスが叫ぶ。
クェリアの後ろの方から1機の陸戦型GMが飛び出し、グフを掴み、ブーストをかけて建物に押し付ける。
轟音が響き、建物が崩れる。
「無事か!?」
息切れしているのがわかった。
「マイン!なんとか。」
クェリアが応えた。
グフがヒートロッドで、マイン機の右肩を貫く。
「うっ!!」
右肩に穴が開き、動かなくなった。
マインが左腕のシールドをグフの頭部にめり込ませる。
そして、右腕を掴み、右足でグフのボディを押さえ、腕をもぎ取る。
さらに、足で左腕を思い切り踏みつけ、破壊する。
グフが残った足でマインを蹴る。
陸戦型GMが倒れる。
「あぐっ!!」
グフが起き上がり、マインの機体を踏みつける。
踏まれるたびに衝撃が襲ってくる。
クェリアが起き上がる。
「マイン!!」
アクスがグフに体当たりをして押し倒そうとする。
が、避けられてしまった。
しかし、その間にマインが起き上がり、左腕でサーベルを抜き、両足を1回で切断した。
「これだけ・・・やれば・・・」
コクピットフレームが少し歪み、モニターが一部割れている。
マイン自身も、ダメージを受け、頭から少し出血している。
「マイン、大丈夫か!?」
アクスが問いかける。
「なんとかね・・・・」
その数十秒後、敵部隊は撤退し、マインたちは帰還していった。
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第3話 束の間の休息