第3話 束の間の休息
マインが陸戦型GMから降りる。
「こりゃまた、ずいぶんとやられ・・・ってマイン!?」
ヴァンが走ってきた。
「大丈夫か!?血出てるぞ!?」
「大丈夫・・・と言いたいけど・・・クラクラしてきたよ・・」
陸戦型GMの足によりかかりながら応える。
ヴァンの肩をかりながら医務室へと向かうマイン。
手当てを受け、頭に包帯を巻きマインが出てくる。
「腹減ったな・・・」
基地内の食堂に向かうマイン。
食堂はさっきの戦闘に出たパイロットでにぎわったいた。
ヴァンやエイン、アクスたちも食事をとっていた。
食事を受け取り、ヴァンの横に座る。
「傷、もういいのか?」
ヴァンが訊く。
「包帯してるし、すぐ治るさ。」
マインが応える。
「クェリア、助けたんだって?」
「仲間だしね。」
パンをかじりながら応える。
「相手は?ザクU?」
「グフだったよ。」
「グフ!?すげぇじゃん!」
「そうか?こっちもボロボロだぞ?」
「いや、それでも勝てたんだろ?」
「アクスがグフを引き離してくれなきゃ勝てなかったよ。」
食べながら会話する。
確かに、あの時アクスがグフをマインの機体の上から引き離してくれなければマインは踏み潰されて死んでいただろう。
「でもかっこよかったぜ?」
背後から声が聞こえた。
声の方を見ると、アクスが空の盆を持ってマインを見ている。
「助けてくれてありがとね。」
クェリアもアクスの横で微笑んでいる。
そう言うと、2人は盆を返しに行ってしまった。
「あの2人さ、恋人同士なんだってな。」
ヴァンがマインに呟く。
「へぇ・・」
マインには初耳であった。
「結構一緒にいること多いんだぜ?仲も良いしさ。」
「オレらもだろ?」
「あのあと抱き合ってたらしいぜ。」
「ふぅん」
飲み物を飲みながら応えるマイン。
「お先。」
マインが席を立つ。
「早っ!」
「おまえが遅いんだよ。」
マインが盆をさげに行く。
ヴァンも急いで食べ、マインを追う。
マインはその後、部屋で休んだ。
「敵影はないか?」
「今のところ以上有りません。」
ザストの問いにルーンが応えた。
「しばらく休めればいいがな・・・」
ザストが呟く。

「グレス・ブルーズ隊、到着しました。」
「ご苦労、グレス中尉。早速だが任務を伝える。」
ここはジオンの基地である。
「この基地を墜としたい。何度か試みているが守りが堅い。」
司令、グリエス・ドリュウが指差した基地は、マイン達がいる基地である。
「この基地を墜とせ・・・と?」
「そうだ。噂は聞いている。<蒼い稲妻>と呼ばれているそうだな?やってくれるな?準備ができてからでいい。」
「ハッ!」
「ここのパイロットも使ってよい。期待している。」
「ご期待に沿えるよう努力します。」
敬礼をして司令室を出るグレス。

マインが部屋から出てくる。
寝起きらしく、あくびをしている。
「マイン、傷、治ったみたいだな。」
「治ったよ。」
「眠そうだなぁ、顔洗って来いよ。」
「そうする。」
目を軽くこすりながら洗面所へ向かう。
冷たい水で顔を洗い、目を覚ます。
「オレのGM、直ってるかな・・・」
呟くマイン。
と、基地内に警報が鳴り響く。
「敵影確認!MS隊出撃は出撃してください!」
ルーンの声が響くと同時に、基地内の人間が騒々しく動き出す。
マインも格納庫へ走り出していた。
格納庫では、パイロットが乗り込み次第MSが出撃していく。
「オレのGMは!?」
「治ってる!早く行ってくれ!」
治ってる!の部分でマインはGMに向かって走り出していた。
「マイン、陸戦型GM、出ます!」
マインが出撃する。
他の仲間は既に出撃したようである。
「マイン、戦場はいつもの都市跡よ!」
「わかった!」
マインが応え、ブーストをかける。

ヴァンがザクUと交戦している。
片方が通路に出てマシンガンを撃った時は片方が建物の陰に隠れる。
ザクUがクラッカーを投げてきた。
「やべっ!!」
ヴァンがその建物から離れてクラッカーの攻撃範囲から逃れる。
ザクUがそれを追ってくる。
向き合った状態になるが、ヴァンがバックブーストをかけながらマシンガンを乱射する。
ザクUが肩のシールドで防御しながら進んでくる。
しかし、ヴァンの機体がブーストをかけながら後退しているため、距離は開いていく。
横に通路があるのを見つけると、ヴァンはそのまま横の通路に隠れる。
「危ねぇ、危ねぇ。」
ヴァンが汗を拭いながら呟く。
ただ後退しているだけでは一直線の通路では狙われやすい。
シールドを使う手もあるが、陸戦型GMのシールドでは防御範囲が狭く、マシンガン等を乱射された時に防げる箇所が少ない。
そのため、後退しつつも、相手に攻撃の隙を与えぬようにこちらから攻撃するのである。
こうすることで、ほとんどの相手がシールドを使い防御して、攻撃をしてこない。
それに、攻撃する事で、視界が見ずらくなるため、追いかけてくる速度が落ちる。
かといって油断もできないから一直線の通路では急いで相手の目の前から逃げる必要がある。
建物の陰から、機体の3分の1程度を通路に出し、マシンガンをザクUに向けて撃つ。
ザクUがジャンプし、ヒートホークを取り出す。
「おもしれぇ!相手になってやる。」
ヴァンもサーベルを取り出し、ザクUを見る。
ジャンプの落下スピードを利用しつつヒートホークで斬りかかる。
ヴァンの陸戦型GMがサーベルを横にして受け止める。
ザクUが着地し、その部分の道路にひびが入る。
ヴァンはシールドの先端をザクUのボディ部分にめり込ませる。
ザクUが後ろに倒れ、モノアイの明かりが消える。
「落ち着いて戦えば楽に勝てるな・・・」
ヴァンが機能停止したザクUを見下ろして言う。

「クェリア!挟み撃ちだ!」
「OKアクス!」
接触回線で2人がうち合わせる。
レーダー上には1機のMS反応、移動しているため、MSである。
T字路で二手に別れる。
そして、敵MSと横一直線に並ぶ。
通路も横一直線なため、ザクUが後ろにステップし、挟み撃ちを避けようとする。
クェリアとアクスはジャンプし、ザクUにマシンガンの照準を合わせ、同時に連射する。
それも、アクスはザクUの前方からザクUに当たるように、クェリアはザクUの背後からザクUに命中するように攻撃する。
左右が建物で避けられないザクUは足1つ分先からマシンガンの銃弾がザクUに向かって進んでくる。
背後からも同じように銃弾が近づく。
アクスとクェリアは滞空しつつマシンガンを撃つ。
ザクUがジャンプしようとしたが、そう思った時にはもう遅く、通常の2倍の銃弾を斜め上から前後に浴び、一瞬のうちに上半身が爆発して消し飛んだ。
着地した後、2人は別の敵影を探しに入った。

ゼラは2機のザクUを翻弄しながら攻撃し、撃破していた。
マインが都市跡に着いた時、都市跡から3機のMSが遠くに見えた。
1機はグフであった。
「おかしいぞ!?なんでここまで来てるんだ!?」
マインは気づいた。
もしかしたら、今、部隊のみんなが戦っているのは『囮』ではないか・・と。
「だとしたら・・・まずい・・・」
おそらく、その3機に気付いているのはマイン1人。
1対3、ましてや、囮を使い、ここまで仲間に見つからずに来る相手である。
マイン一人では勝ち目が無い。
マインは近くにあった高いビルを破壊した。
「ん?ビルが崩れた?あの方向にはMSがいないはず・・・」
ザストがいち早くそれを見つけ、その方向に向かった。
マインは信号弾のかわりに仲間に知らせるためにビルを崩したのである。
ただし、相手にもマインがいる事を気付かせてしまった。
「早く、誰か来てくれ・・・」
建物の陰に隠れ、マインが呟く。
「気付かれたか!?」
そのグフのパイロットはグレスであった。
「フォーメーションを崩すなよ!いまのが合図だとすれば敵が増える前に基地を叩く!速度を上げるぞ。」
3機のMSが歩行から走りに変わる。
「誰も気付いてなかったら・・・どうする・・・?」
マインが唾を飲み込む。
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第4話 3機のグフ