2002年5月26日
有事法制定反対! 拡がる戦乱の火を断て!
5・26怒りの大集会4
 |
| 5月26日に浅草公会堂に1000人余が集まりました |
開催報告
会場に集まった参加者は1千名をこえました!
熱気あふれる集会の模様を
以下に紹介します。
「平和憲法の源に帰って、有事立法のマヤカシを暴き、それを壊していこう」
開会挨拶に立った共同代表の弓削達さんの声が力強く響きわたりました。
浅草公会堂は、3階席まで満席です。5・26「怒りの大集会4」は、一千名を越える参加者の熱気のなかで始まりました。
最初に、西谷修さん(東京外語大教授)が問題提起しました。ブッシュ政権が継続しているアフガニスタンへの報復戦争の問題性を、「対テロ戦争」という「新時代の世界戦略」との関係で、鋭くえぐり出しました。
「国家が非国家を相手に戦争するという『非対称的戦争』は、相手の当事者能力を認めず、一方的な殲滅の対象とみなすものである」。「アメリカ独占体がもつ特許権の使用料が全世界から入ることを維持しつづけるために、また石油をふんだんに使う生産様式、生活様式を維持しつづけるために、世界の隅々に出かけて圧倒的な貧富の差をつくり、元からあるシステムを壊し根こそぎにする――このアメリカン・グローバリセーションが生みだす最貧国の虐げられた民衆の怨嗟。これが、『恐怖の火薬庫』となって爆発しないように永続的に封じ込めるための『安全保障』システムが、『対テロ戦争』という戦略だ」、と西谷さんは指摘しました。
問題提起を受けてリレートークです。水岡不二雄さん(一橋大学大学院教授)が、「市場経済で世界を太陽のようにとりこもうとしたアメリカが、世界的なデフレの深刻化のなかで、再びベトナム戦争時のように軍事力(北風)で押さえつける路線に転換している。小泉政府の有事法制定の動きも、デフレ経済を解決できないことと裏腹の関係にある」と暴きだしました。つづいて、高校生が「有事法制定に絶対反対しよう」と元気に訴え、土屋公献さん(共同代表)は、アメリカの「一国独善、覇権的な世界戦略」に加担しようとする小泉の有事法制定の企みは、日本にとって自殺行為だ、と喝破しました。
司会が共同代表の池田龍雄さんをはじめとする方々のメッセージを紹介しました。
戦争の被害者にも加害者にもならない決意で(内田さん)
第二部は、学生による寸劇「有事法が制定されたら」で始まりました。有事法制が「守る」ためのものでなく、「攻める」ためのものであり、国民を強制的に動員し抵抗したら逮捕するという性格を持っていることが、リアルに演じられ、会場から盛んな拍手を受けました。
いよいよパネルディスカッションです。4人のパネラーがまず問題提起します。
内田妙子さん(航空連議長)は、「5・24明治公園集会に4万人の参加があったが、まだまだ運動が小さい」。「戦争で犠牲になるのは一般国民であるのに、労働者も国民も戦争に加担させられる」ことを弾劾し、「航空労働者は戦争の被害者にも加害者にもならない決意で有事法反対の運動にのぞんでいる」と述べました。
平山誠一さん(海員組合政策教宣局長)は、太平洋戦争時「船員徴用令」にもとづいて30万人の船員が根こそぎ動員され、6万人以上が犠牲になった過去を教訓に、「海から見る平和」について積極的に発言していこう、ということから現在のとり
くみが始まったこと、「船乗りは難しいことを言っているのではない。安心して働ける職場が欲しい、みなさんに助けてくれ、と言っているだけなのです」、と訴えました。
斎藤貴男さん(ジャーナリスト)は、有事法を煽るのも、不審船問題を煽るのも「堕落した」ジャーナリズムである、と苦々しく語り、「個人情報保護法などのメディア規制三法は言論統制のためのものである」と暴き出しました。
「日本が攻められたら」への答をはっきりさせるべき(野田さん)
野田武さん(ファシズムに反対する京浜連絡会)は、、「『日本が攻められたらどうするか』という問いへの答をハッキリさせるべきだ」として、「この場合の『日本』は日本領土に限定されず、公海上の日本の船や在外公使館などをもさしている。現実にはインド洋に派遣されている自衛艦への『攻撃の恐れ』もしくは『攻撃が予測される』と首相が認定し、米軍と一緒に相手国を攻めるのだ」と明らかにしました。
会場からの意見です。
まず地方公務員の女性。「8月から改正住民基本台帳法にのっとって住民票に11ケタの番号をつける。これが有事法ができた場合の“公用令書(赤紙)”を出すときに活用される。自分たちが仕事でつくる基礎データが、国家権力に掌握される。知らない間に小泉の手下になって、国民を戦争に動員する側に巻き込まれることになることがつい最近わかった。私たちは絶対イヤです」、と。
ナースキャップをつけた医労連の組合員は、「再び白衣を戦場の血で汚すな」という医労連のスローガンを紹介し、「戦場にかり出されたら、重傷者を見殺しにするだけでなく、治療してよくなった人も、また戦場に行って、自分の命を奪われるか相手の命を奪うかで、私たちはそういうことはしたくない」と、さらに「“自衛の戦争ならよいが、アメリカの戦争に巻き込まれるから反対”という組合執行部の意見はおかしいと思う」と述べました。
早稲田大学の学生は、内閣官房副長官の安倍晋三が、「大隈塾」という大学の授業に出てきて、「核兵器の使用は違憲ではない」「有事には人権の制限は当然だ」「自衛隊が海外で武力行使することを認めるべきだ」「先制攻撃を否定しない」などと述べたことを暴露して弾劾しました。
斎藤貴男さんが、「岸信介の孫で安倍晋太郎の息子の安倍晋三も彼の子どもも、絶対に戦場に送られないから、彼らにとっては戦争はものすごく楽しい大スペクタクルでしかないのだ」、と応じました。
都教組の女性組合員が、来年度から「『主幹』制が導入されるが、これは有事法のミニ版だ、『教え子を再び戦場に送るな』という日教組の誓いを職場から根こそぎくつがえしていくものだ」、と訴えました。
会場に来られた呼びかけ人、賛同人の方々も手を挙げて発言しました。
尾形憲さん(法政大学名誉教授)は、「『テロ特措法・海外派兵』違憲訴訟を来月起こします」と報告し、大山竜源さん(戦争を記録する「朝風」の会会員)は、「今日の戦争は核戦争となるから絶対に戦争をしてはならない、亡国の道・有事法には絶対に反対です」と、信太正道さん(戦争屋にだまされない厭戦庶民の会会員)は、「自衛隊は『世界の憲兵』になろうとしている、有事法はその第一歩だ、厭戦思想・厭戦気分を拡げていけば決して戦争はやれない」と訴えました。
さらに、「組合が下から共同行動をやっていくことが大事だ」(教組の組合員)、「今こそ立ち上がろう、国会に行って阻止行動をやろう、大学や職場で戦争をやる法案に反対しようと呼びかけよう」(学生)など、活発な討論がつづきました。
事態は切迫している。ただちに 行動しよう(森井さん)
内田さんは、尊敬する櫛田フキさんの「沈黙は犯罪、傍観は共犯、無知は罪」「勉強しなければ負ける。行動しなければもっと負ける」という言を引きながら、負けないために、「組合の制約、方針の制約を受けて厳しい状況があるかも知れないが、ともに行動しましょう」と檄を飛ばしました。
野田さんは、「有事法反対の一点に絞るということは、強さにも弱さにもなるが、無条件で絶対に反対する理由を一人ひとりが見つけ、反対の理由のちがいを討論しあおう」と提起しました。
パネルディスカッションを終え、参加者が会場でつくった檄布が、内田さんと平山さんに手渡されました。
最後に共同代表の森井眞さんが、閉会の挨拶に立ちました。「事態はすでに切迫している。明日からと言わず今日から行動に移らなければならない時です。戦争は人間の尊厳を奪うものである。絶対に反対しなければならない」と熱烈に呼びかけました。
集会を終えると、直ちに学生を中心に有楽町マリオン前で街頭情宣を行いました
参加呼びかけ
戦後日本の平和と良心のシンボルであった憲法第九条が、いま最終的葬られうち砕かれようとしています。小泉政権は、有事三法案を今国会で何がなんでも成立させようとしゃにむに突き進んでいます。
戦争法の制定に突進する小泉政権
みなさん! この有事法案には、「武力攻撃事態を終結させるために」自衛隊の「武力の行使」「部隊の展開」を実施すると明記されています。まさにこれは、日本が自衛隊という名の軍隊を出動させて戦争を行うのだということを、戦後史上初めて公々然と宣言する戦争法案ではありませんか。
アフガニスタン侵略戦争に参戦してきた小泉政権は、ブッシュ政権のイラクなどへの「対テロ戦争」の拡大に加担・協力するために、そして同時にまた、いわゆる平和憲法のもとに「国権の発動たる戦争」を放棄してきた戦後の日本から転換し「戦争のできる国」に変えていくために、政府が「有事」を認定させすれば、首相が非常大権を握り、自衛隊を全軍出動させ、国民を総動員して戦争体制をつくりだす、ということを法律に定めようとしているのです。もしもこの有事法の制定を許すならば、日本の軍隊が「武力攻撃事態(そのおそれ、予測される段階)を終結させる」ということを名目にして他国に軍事侵略する道を開くことになるのです。
有事法は改憲そのものだ!
政府は、「指定公共機関」として運輸・道路建設・通信・マスコミ・医療などの機関・業者を戦争に動員し、これらの「機関」で働く労働者を強制的にかりだそうとしています。鉄道・航空・船舶・港湾などの運輸労働者は米軍や自衛隊の武器・弾薬や人員の搬送に、医療労働者は野戦病院に、その他ありとあらゆる分野の労働者が自衛隊(および米軍)の出動に必要な業務に、従事することが義務づけられようとしています。
民間の土地や家屋、物資も、強制的に没収し、戦争に協力しない者には罰則を与え、監獄に送ることさえ、有事法にもりこんでいるのです。
これこそは、「戦争放棄」や「基本的人権の尊重」をうたった現行憲法を完全に踏みにじって、国家総動員体制を再現するものでなくて何でしょうか!
パレスチナ人民の大虐殺弾劾! アメリカの「対テロ戦争」の拡大を許すな!
私たちは、小泉政権が参戦してきたアメリカの「テロ根絶」を名目に掲げたアフガニスタンへの侵略戦争に弾劾の声をあげてきました。
今、パレスチナの地では、イスラエルのシャロン政権がパレスチナ人民にたいするむごたらしい殺戮をくりかえしています。四月八日には、ジェニンの難民キャンプをミサイルで攻撃し、ガレキの下で苦しむ生存者をブルドーザーで踏みつぶし、農民・女性・子供を含む五百人以上の人々を虐殺したのです。これが〈国家テロ〉でなくてなんでしょうか!
このシャロン政権の蛮行をバックアップしているのはアメリカ政府です。ブッシュ自身が、今現在もアフガニスタンにおいてタリバン・アルカーイダを皆殺しにするための大規模な地上戦をくりかえし、さらにイラクへの軍事侵略を開始しようとしているのです。
このイスラエルとアメリカの犯罪行為にたいして、中東・アラブ諸国人民の怒りがわきあがっています。パレスチナの十代の若者たちが、みずからの命を賭してたたかおうとしているのを、「テロ」と烙印してすますことができるでしょうか。欧州各国で、そしてアメリカでも、数万の抗議行動が連日くりひろげられています。
今こそ有事法制定を阻止する闘いのうねりを!
労働者・学生・市民のみなさん!
日本がいよいよ本格的な参戦の道をつきすすみ、“戦時下の暗黒の日本”の再来への道を突き進むのを阻むことができるか否か、今が正念場です。
だからこそ、反対運動の弱さをも克服してゆくことが問われていると思います。「連合」の指導部が、有事法制定に賛成する民主党の鳩山らにすりよって有事法の制定を尻押している現状をどうするのか? また「日本の防衛にならないから反対」という主張で有事法制定を阻止する力になるでしょうか? このようなことをめぐっても討論をくりひろげながら、有事法の制定を阻止する運動を大きく前に進めようではありませんか。
今こそ、心あるすべての人が手をたずさえて、反戦・反改憲の闘いを大きくつくりだしましょう! 全世界の人々と連帯して「戦争反対!」の声をあげ、職場から学園から地域から、「有事法制定絶対阻止!」「憲法改悪絶対阻止!」のうねりを創造しようではありませんか! 〈有事法制定反対! 拡がる戦乱の火を断て! 5・26怒りの大集会4〉に、こぞって参加されることを!!
集会スローガン
・アメリカのアフガニスタン・中東侵略反対!
・イスラエルのパレスチナ軍事攻撃弾劾!
・日本の参戦絶対反対!
・有事法の制定を許すな!
・憲法改悪絶対反対!
|