(01.02.16) 霊術室のご案内へ







 霊術家が依頼される技法の一つに病気の治療があります。

 普通、病気は病院で治すか薬局で薬を買って治すのが常識です。ですから、霊術家の元を訪ねる方の場合は、大抵の場合は、原因不明の病気とか不治の病といった、病院の治療では困難な病気が多いものです。 

 そうした方は、藁をも縋る思いで霊術家や宗教家の元を訪ねます。その結果として、悪い自称専門家に騙される人も大勢出ます。

 それだけに、霊術家は世間からは白い目で見られがちになっていますが、この機会に、霊術家も真面目な方の場合は大変迷惑している、ということも知っていただきたいと思います。

 実際、霊術家に縋る人達は、それだけ追い詰められています。健康な時なら騙されないような言葉にも騙されてしまいます。人間というものは苦しい時にはなかなか正しい判断ができないものです。その上、霊術家の善し悪しを判断する事は大変難しいのです。(『れいのうりょくしゃって?』を参照)

 ですから、比較的健康で悩みの少ない時に、霊術家や宗教家について勉強しておく事は大切な事なのです。そうしないと、いざという時に取り返しのつかない間違いをしてしまう事が多いのです。

 日本に西洋医学が入って来るはるか以前、治療といえば、薬でなければ祈祷だった時代があります。平安時代などは、貴族のような偉い人達は、病気になると盛んに密教僧などに祈祷を頼んでいました。

 何の効果もなければ、すぐに廃れたかもしれません。しかし、そうではなかったということは、それはそれなりに効果もあったのでしょう。とは言いましても、時代が進んで西洋医学が入ることによって、たくさんの病気が治るようになり、大勢の人達が助かるようになったのですから、やはり、祈祷よりも医学の方が病気には効力があると言わざるをえません。

 もちろん、一方では西洋医学の欠点も指摘されています。新しい薬が一つできる度に、また新しい病気も現れて、いたちごっこになっている、と指摘する方もいらっしゃるそうです。

 医学にもいろいろと問題があることは言うまでもありません。とは言いましても、現代では大変有効な治療法であるのは確かなことです。

 ところが、それでもなお霊術に縋る人がいる、という現実は無視できるものではありません。そうした現実を踏まえて、霊術を必要とする方々に何か少しでも役に立つ事があるならばと、霊術家の方々も真剣に努力されるのではないかと思われます。

 霊術家の方々が用いる病気の対処法は一つではありません。まず、一つは祈願、あるいは祈祷です。これは説明するまでもありません。

 しかし、霊術家の技術は他にもあります。それは、「霊査あるいは霊視」と言われる方法を用いて、霊的な原因を探すという技術です。「霊査」を参照)

 もちろんこれは、霊術家の全員ができるわけではありません。いわゆる霊能力者に限った能力だと言えます。霊能力者の方が霊査をして、病気の裏に何か霊的な原因がないかをさぐり、仮に悪い霊魂が作用していた場合には、それを排除したりして病気を解決しようとするものです。

 この方法は、病気に霊的な原因がなければ、特に意味を持ちません。ですが、明確な霊的原因があって、それが病気に深く関与している、という場合には、絶大な力を持つことがあります。

 しかし、こうした事が噂に出ますと、一方ではそれを悪用し、騙す人達が現れます。困っている人にとっては、真面目に霊査してくれる人の情報はどうしても必要です。が、悪い人の存在がそうした情報を分からなくしてしまいます。悪い人達ほどお金もたくさん儲かっているようで、その分、宣伝力もあるので、真面目な人の広告は目立たないのではないかと思えます。

 また、霊術とまでは言えないかもしれませんが、「手のひら療法」というものがあります。

 日本の宗教団体にはいくつかこうした技を行なう団体があるようです。こうした技は霊術家のような専門家が行なうのではなく、大勢の信者さん達が行なっていらっしゃるようです。そういう意味では、霊術家の技法に比べると手軽な技なのかもしれません。

 ただし、私の考えとしては、こうした技はあまりお勧めできません。専門的な事はここでは省きますが、「手のひら療法」は、それを行なう方の体内にある、いわゆる「気」を無駄に消耗させたり、治療を受ける方に他の方の「気」が入るために、最初のうちは良くても、そのうち、反動が出る危険も考えられるからです。
 
 以前、テレビで紹介されていたのですが、中国の病院で気を使って治療をしていらっしゃる方を見ることができました。その方はご自分の外にある「気」をさかんに体内に取り入れる訓練をしていらっしゃいました。半日は気を吸収しないと自分の体が保てない、とも言っておられました。こうした方の使う「気」は、日本でよく見られる「手のひら療法の気」とは異なっています。これを、霊魂学では別の種類の「気」として扱っています。

 また、中国などでは気功法によって副作用を起こした方のための専門的な病院がある、という話をどこかの雑誌で読んだことがあります。副作用があるのは西洋医学も同じですから、別に気功法がすぐに悪いというわけではありません。ですが、そうした認識を持っていない人達が多すぎるのではないかと心配になります。病気の治療の場合は、きちんとマイナスの部分も明示しておくべきではないかと思います。

 したがいまして、霊魂学では、「気」は、きわめて慎重に扱っています。         

 これまでの霊術はともすると単なる祈祷に終始する事が多かったのではないでしょうか。 

 流派によっては、「〇〇の法」とか、「〇〇の術」とかいって、個々の病気に有効なまじないをしたり、護符を作ったりしている所もあります。

 しかし、今後の霊術は、それだけでは不足なのではないかと思います。

 人体内部の気の動きと病気の関係を考えたり、霊魂の憑依ばかりではなく、霊魂の発した「気」や人間の「念」、それらの影響と病気との関係、あるいは、幽体の不調と病気との関係、といったように、多方面からの研究が必要になるのではないかと思っています。

 実際、私の師によれば、病人の患部に手をかざしたり、当てたりして、それが、かなりの力を発揮するという方の場合であっても、病気によっては、そうした力が本当に必要な場所は、痛いと思える場所ではなく、むしろ他の箇所である事が多いのだそうです。

 つまり、東洋医学が体の全体を考えて治療をするように、人間の体は、仮に頭痛がするとしても、真の原因は肩こりにあったり、目の疲労にあったりもするのです。ですから、活力を足さねばならない箇所は、必ずしも痛いと感じる箇所とか、病名が付いている箇所とかに限らない、という事でした。

 更に考えるべき点は、自分の「気」を使わないで行なう治療法を考案すべきという事です。これがなされないと、いくら人の為にと言っても、長い間には自分自身にその付けが回って来てしまいます。

 しかしながら、優秀な霊術家の方であれば、現代医学を補う形で病気の人の助けになる事も不可能ではないと思っています。

 特に、人間が病気になる原因の一つに、幽的な原因がある方の場合には、治療というよりも、病気を事前に予防するという事に非常に役立つと思えます。そして、幽的に不調を持っている方は現代では大勢いらゃると推測されています。現代は、空気の汚れと同時に、幽的な環境も著しく悪くなっているらしいからです。

 今後の霊術家の皆さんのご努力と、一般の方々のご理解を願ってやみません


 そしてまた、これから霊術家を目指される方々には、ぜひとも、霊魂や霊的な身体に関する深い知識を正しく踏まえた上で、霊的な治療法を志していただきたいと思います。


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