死 後 の 世 界 の 生 活

   人間は死後、しばらくは夢を見ています。それを、「冥界」にいる、と呼ぶ事があります。 
    しかし、実質的に死後の世界の住人になるのは、次の「幽界」に入ってからです。



1.幽界での生活

   さあ、幽界に入ったばかりの、私、の目を通して、幽界の生活を覗いてみましょう。



 私は幽界という所が大好きです。何しろ、物質の身体ではなく、死後の世界で使う身体なので食事を取る必要がありません。そのために仕事をする必要もなく、毎日遊んでいても文句を言われないのです。そんな私の一日を紹介しましょう。

 朝、といっても別に太陽が昇って明るくなるわけではありません。どうしてなのかは知りませんが、ここでは夜にならないのです。
 それでも、私のように、ここへ来て間もない霊魂は、朝、と言わないと、何となく調子が出ないのです。

 朝、私は顔を洗うでなし、食事をするでなし、何もすることがないので散歩をします。散歩に出ると大勢の人、いや霊魂に会います。霊魂方はこちらに来て長い人もいて、私にいろいろと教えてくださいます。
 一番驚いたのは、ここでは何でも手に入るということでした。とにかく、心に思って念ずると、思った物が目の前に出てくるのです。これにはびっくりしました。
 私がすぐに作ったのは家でした。まずは住家が欲しかったのです。それは地上時代には、一度住んでみたかったプール付きの家です。もちろん、最初は本当に出てくるとは思わなかったので、家ができた時には、もう腰を抜かしそうになりした。
 私は、嬉しかったはもちろんですが、他人の土地に勝手に家を建ててしまったと思い、すぐに家が消えるように念じました。すると、家はすぐに消えてしまったのです。
 私はこうして毎日びっくりすることばかりで時を過ごしています。まだまだ、分かっていないことが多く、知り合った人に質問するのが私の生活です。

 こうして昼になり、おそらく夜になるのですが、別に辺りが暗くなるわけではないので、私の場合、勝手に夜が来たと考えています。そうしないと何となくしっくりこないのです。

 夜になったので、お酒でも飲んでご馳走を食べたいのですが、残念ながら、お腹がすかないのです。
 私は知り合った人に、お腹がすかなくてつまらなくないか、と聞きました。
 そうしたらこう言われました。
 「私は毎日食べているよ。」


 私は訳が分からなくなりました。


幽界での生活は地上とは随分違うようです。少しずつ進んで行きましょう。


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