霊 的 進 歩



2.団体

 霊的な進歩には霊的なトレーニング(修行)を実習する事が一番である事は分かりました。それには霊的なトレーニング(修行)を学ばなければなりません。でも、どうしても団体は必要なのでしょうか。

 必要です。たとえば、他の習い事を考えてみて下さい。素晴らしい技術をなるべく大勢の人達に学んでもらうためには、実習をする場所が必要になります。ダンスや笛、太鼓ならば、音が出てもクレームがつかない場所が要りますし、座禅や瞑想を行なうには逆に周囲の音が聞こえない場所が要ります。
  人数が少し増えると、どこかの会場を借りなければなりません。そのため、貸会議室を借りると必ず団体名と代表者が必要になるのです。
  また、続けていくためには連絡網が要りますから会員名簿も要ります。つまり、どんな習い事であっても、大勢の人達に広めようと思えば、必ず団体になるのです。また、人数が増えると、事務処理も必要になり、事務所や事務員が要ります。そのため、事務経費や職員の賃金も必要ですから、カルチャーセンターと同じで、きちんとした会費が必要になるのです。
  したがいまして、霊的なトレーニング(修行)を実習するためには、団体に所属する事が必要ですし、会費や実習費用も必要なのです。ただ、世間の宗教団体や神秘団体の評判があまりにも悪く、一般の人達は団体に所属する事を警戒するようになりました。
  詐欺に騙されないためには警戒心は必要です。しかしながら、そのために、霊的なトレーニング(修行)を体験できないのでは困ったものです。

 ではそうして出来た団体は、理想的な団体に成り得ますか。世の宗教団体では内部分裂や派閥争いが絶えないと聞きますが。

  霊的な団体も他の団体と同じで、なかなか理想的な団体にはなりません。

Q  それはなぜですか。

  それは、人間という霊的生命体に個性があるためです。人間はそれぞれに違った性格と能力を持っています。育った環境が違うので、心の中に持っている性質も違います。
  また、年齢や性別、出身地、出身学校、職業なども違います。そうした様々な人達が集まって組織を作る場合は、主宰者に強いリーターシップがないと、上手く運営出来ません。 
  カルチャーセンターのように、一芸だけの集団でさえ、人間関係がもつれる事があります。まして、霊的な団体ともなると、人間関係は皆が努力しないと上手く保てません。
  なぜなら、盲目的な宗教なら、何でも宗教聖典を開いて結論を出すのでしょうし、巨大な団体なら、会社のように命令系統がしっかりしていて、そこで、たとえ不満があっても、何らかの解決を見るのでしょう。 
  しかしながら、そうでない場合は、それぞれの人に意見が出ます。それらの意見は個性があるために、必ず相違点が出ます。
  ですから、リーダーが直接決定するうちは大きな対立は防げますが、団体の規模が少し大きくなると、リーダー以外の人が中心になって決定することが増えてしまい、必ずと言って良い程に対立が生まれるのです。
  この対立が激しくなると、その団体は殺伐とした雰囲気を持つ団体となります。

Q  では、団体は小さい方がよいのでしょうか。

  立派な先生が大勢いればそれも可能です。でも、そうでない場合は、そうも行きません。誰でも良い先生に付きたいと思うわけですから、自然に良い先生の回りにばかり人が集まります。

Q  では、どうすれば、良いのでしょうか。

  団体に入った人達が、そうした事を充分考え、過度な自己主張をせず、常に大切な事は何かを考えて、人間同士の対立を増やさないように努力する事です。

Q  分かりました。

  人間の集まりに絶対も完全もありません。だからこそ、集まるのです。そして、自分の足りない部分もそこで発見すべきなのです。

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