山田聖ヴァイオリン工房Kiyoshi Yamada Geigenbaumeister
↓ときどきつぶやきます
製作理念


 =製作楽器=

 私の楽器は、ストラディバリ、ガルネリ、アマティといった巨匠のコピーではなく自分自身で設計し、美しいと感じる形(美しい形≠鳴る楽器)で製作しています。
しかしヴァイオリンには長い歴史がありますので結果的に似た形の楽器を製作していた先人もいらっしゃるかと思います。
また現代のヴァイオリン製作においては、楽器各部のサイズに関して一応の制約がありますので1〜2mmの違いでオリジナリティーを出さねばなりません。真似しているつもりはありませんが、私にも好きな製作者がいますので無意識に似てしまうこともあると思います。その他、製作者の個性が出る箇所にf孔、渦巻きがありますが、楽器全体の統一感を損なわないように創っています。
私は、一目で製作者の分かるような個性的な楽器を好みません。丁寧に手を抜かずに作業することを心がけ、何でもない普通のバイオリン(よく解らないコンセプトですが…)を目指して製作しています。
まだ私の理想とするような楽器には辿り着いていませんが、製作楽器の音色、弾きやすさには自信を持っています。


 =ニス=

 アルコールニスを使用して、いわゆるフルヴァーニッシュでヴァイオリンを塗装しています。古来使われている天然樹脂、染料を使いニスの調合も自分で行っています。
私の個人的な考えですが、本来ニスは楽器を保護する目的で塗られたものであって、ニスが楽器の音色、鳴りの良し悪しを大きく左右するような要素だとは思っていません。(ある程度影響することは有ると思います。)
あまりに硬いニスは論外ですが、楽器の振動に必要以上に干渉せず演奏に耐える程度の軟らかさがあり美しいものであれば問題ないと思います。


 =材料=

 表板、裏板、ネック材など使用するには、最低10年間は乾燥させます。
実際は、20年以上乾燥させたもので製作しています。多くは、ヨーロッパ滞在中に購入したものです。
表板は、軽く年輪の幅が多少広めで目切れやハーゼ(チョウチョとも言います)の無いものが好みです。
裏板は、自然の木目は(虎杢)はどれも美しいと思います。特に好みというようなものはありません。いろいろなタイプの木目で製作してみたいです。
またオーダー製作の場合、楽器の注文時に材料に関して多少依頼者の希望に添うことは可能です。


 =駒、魂柱=

 私の製作した楽器にはオリジナルの駒、魂柱を立てています。
駒は、ご希望によりAubert、Despiau等市販の駒を使用することも可能です。
魂柱は、本来表板に使用する厳選した割り材を鉈割して自作しています。駒、魂柱ともに20年以上乾燥させた良材です。