概説書・一般書  1999.09.26公開/2001.06.16更新
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通史

書名 図説 チベット歴史紀行
編 著:石濱裕美子
写 真:永橋和雄
叢書名:図説 世界の歴史
出 版:河出書房新社 1999.09
ISBN4-309-72618-6
 現在のチベット(人々・文物・自然等)を撮影した永橋氏の写真が全体の三分の2程度、残りを石濱氏の解説がしめる、ビジュアルなチベット史の入門。石濱氏の積年の研究成果 にもとづく創見が随所に盛り込まれている。
最近「オカメインコの森」にUPされた「チベット問題の歴史淵源」 も著者の見解を知る上で有益

書名: チベット
編著:山口瑞鳳
叢書名:東洋叢書3
出版:東京大学出版会
ISBN 上巻4-13-013033-1 1987
ISBN 下巻4-13-013034-x 1988
チベット全般に関する概説書。第三章(下巻)で歴史が扱われている。
「目次」に基づく内容紹介はこちら

山口瑞鳳 「チベットの歴史」
  書名:北村甫教授退官記念論文集 チベットの言語と文化
  編著:長野泰彦・立川武蔵
  出版:冬樹社、1987
  ISBN :4-8092-1110-X
  掲載:pp.69-106


書名:アジアの歴史と文化7 北アジア史
主編:若松寛
出版:同朋舎1999 
ISBN 4-8104-0860-4
竹内紹人「チベットの歴史と文化」、森川哲雄「明代のモンゴル」、若松寛「北アジアと清朝」などの章でチベットの歴史や、モンゴルにおけるチベット仏教の弘通、チベットにきわめて大きな影響を及ぼした時期のオイラト族の歴史が扱われている。

書名:中央アジア史
編著:江上波夫
叢書名:世界各国史16
出版:山川出版社1987
ISBN 4-634-41160-1
本書第二部第四章が山口瑞鳳氏によるチベットの通史

書名:中国史4 明・清
編著:神田信夫ほか
叢書名:世界歴史大系
出版:山川出版社1999
ISBN 4-634-46180-3
森川哲雄氏が担当された第一章11節「明代のモンゴル(二)」、第二章7,8節「清朝の藩部(一),(二)」などでチベットの歴史が扱われている。

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通史 蔵文書
書名: TIBET A POLITICAL HISTORY
編著:W. D. Shakabpa
出版:Yale University Press, 1967
 Potala Publications, 1988
 ISBN 0-9611474-1-5
  邦訳書名: チベット政治史
  編著:W. D. シャカッパ
  翻訳:三浦順子
  出版:亜細亜大学アジア研究所, 1992
  ISBN 4-900521-03-5
チベットが古来から独立国であったという立場から書かれた通史。チベット人自身が考えるチベット史像を知る資料としても、きわめて貴重である。

書名: bod kyi srid don rgyal rabs (Political History of Tibet), 2 vols
編著:zhwa sgab pa dbang phyug bde ldan (W. D. Shakabpa )
出版:bkas khang thub bstan tshe dpal(T.Tsepal Taikhang), Delhi, 1976
 bod gzhung shes rig dpe skrun khang(Tibetan Cultural Printing Press), Dharmsala, 1986
上記通史のチベット語版。

書名: zhwa sgab pa'i "bod kyi srid don rgyal rabs" dang bod kyi lo rgyus dngos.
  (夏格巴的『西蔵政治史』与西蔵歴史的本来面目)
編著:bod rang skyong ljongs "bod kyi srid don rgyal rabs" blta bsdur mchan 'god tshogs chung
  (西蔵自治区『西蔵政治史』評注小組)
出版:mi rigs dpe skrun khang(民族出版社), 1996
ISBN 7-105-02656-1

中文版書名: 夏格巴的『西蔵政治史』与西蔵歴史的本来面目
編著:西蔵自治区『西蔵政治史』評注小組
出版:民族出版社, 1996
ISBN 7-105-02655-3
シャカッパの通史には,チベットの自立性を示そうとすることに急なあまり、史料の引用にあたり、都合の悪い記述を無視したり、原意を歪めたりした箇所がままある。本書はそのような箇所を史料原文と共に提示していちいち指摘し、「チベット史の正しい姿」を描き出そうと務める。

書名: bod kyi lo rgyus rags rim gyu yi phreng ba(西蔵簡明通史), 3 vols
編著:chab spel tshe brtan phun tshogs(恰白・次旦平措), nor brang o rgyan(諾昌呉堅)
出版:bod ljongs dpe rnying dpe skrun khang(西蔵古籍出版社), lha sa(拉薩)
ISBN 7-80589-001-3
刊行年:stod cha(上冊)1989, bar cha(中冊)1990, smad cha(下冊)1991
  中文訳書名: 西蔵通史──松石宝串
  編著:恰白・次旦平措
  翻訳:西蔵社会科学院・中国蔵学研究中心
  出版:西蔵古籍出版社, 1996
  ISBN 7-80589-020-X
チベットが古来から多民族国家・中国の一部であったいう立場から書かれた通史。諸史料の利用、引用は緻密で堅実である。

書名: deb ther kun gsal me long(蔵史明鏡)
編著:phun tshogs tshe ring(平措次仁)
出版:bod ljongs mi dmangs dpe skrun khang(西蔵人民出版社), 1987
ISBN 7-223-00005-8

書名: bod kyi lo rgyus spyi don padma ra'a ga'i lde mig(蔵史綱要), 2vols
編著:thub bstan phun tshogs (土登彭措)
冊数:stod cha(上冊), smad cha(下冊)
出版:si khron mi rigs dpe skrun khang(四川民族出版社), 1996
ISBN 7-5409-1418-1

書名: bod sil bu'i byung ba brjod pa shel dkar phreng ba(西蔵割据史)
編著:thub bstan phun tshogs (土登彭措)
出版:bod ljongs mi dmangs dpe skrun khang(西蔵人民出版社), 1991
ISBN 7-223-00372-3
 吐蕃王朝解体(841)後の分裂期をあつかった通史。
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通史 中文書
書名:康蔵大事紀年
著者:張雲侠・王輔仁 校注
出版:重慶出版社 1986
書名:西蔵発展史(bod ljongs 'phel rgyas kyi lo rgyus)
主編:鄭汕
出版:雲南民族出版社1987
ISBN 7-5367-0604-9
書名:蔵族簡史
著者:蔵族簡史編写組
出版:西藏人民出版社 1985

書名:藏族史略
著者:黄奮生
出版:民族出版社 1985

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通史 洋書
書名: A CULUTURAL HISTORY OF TIBET
編著:David. L. Snellgrove and Hugh E. Richardson
出版:London, George Weidenfeld and Nicolson Ltd.1968
 邦訳書名: チベット文化史
 編著:D.スネルグローヴ/H.リチャードソン
 翻訳:奥山直司訳
 出版:春秋社1998
 ISBN 4-393-11201-6
定評あるチベット文化史の概説

書名: THE MAKING OF MODERN TIBET
編著:A. T. Grunfeld
出版:1987
 邦訳書名: 現代チベットの歩み
 編著:A. T. グルンプェルド
 翻訳:八巻佳子
 出版:東方書店 1994
 ISBN 4-497-94431-x
現代を中心にした、チベット史の概説。チベットが歴史的に多民族国家・中国の一部を構成していたという立場からの記述。

書名: La Civilisation Tibetaine
編著:Rolf A. Stein
出版:L'Asiatheque, 1987
 邦訳書名: 決定版 チベットの文化
 編著:R. A. スタン
 翻訳:定方晟・山口瑞鳳
 出版:岩波書店1993
 ISBN 4-00-001365-3

 中訳書名:西藏的文明
著者:R.A.石泰安〔スタン〕, 耿昇訳, 王尭校
 叢書:西藏学参考叢書之六
 出版:西藏社会科科学院西藏学漢文文献編輯室 198?
 備考:内部発行
チベット全般の概説。全五章のうち、第二章で歴史を扱っている。

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チベット仏教史

書名: チベット仏教
叢書名:岩波講座 東洋思想 第二巻
編著:長尾雅人ほか
出版:岩波書店 1989
ISBN:4-00-010331-8
長尾雅人「チベット仏教概観」 山口瑞鳳「チベット仏教思想史」 ほか

書名: チベット・ネパール編
叢書名:講座 仏教の受容と変容3
編輯:立川武蔵
出版:佼正出版社 1992
ISBN:4-333-01419-0
立川武蔵 「チベット編第一章 概説」、谷口富士夫「チベット前伝期仏教と異宗教」、白館戒雲・小谷信千代「ゲルク派小史」 ほか

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ダライラマを頂点とする宗教的ヒエラルヒーのイデオロギー

石濱裕美子「僧形の王(Priese King)ダライラマ」
  収録:季刊 仏教 No.26
  出版:法蔵館,1994.01.15
  ISBN 4-8318-0226-3
ダライラマがなぜ、いかにしてチベット人にとって尊い存在となったのか、チベットの建国伝説や観音信仰をふまえて概説。このテーマに関連した著者の研究はこちら。著者のサイトで全文をみることができる。

石濱裕美子 「ヒマラヤをおりたチベットの聖者たち」
  掲載誌:『あうろーら』第4号(1996.08)
  ページ:pp.156-165
仏法の弘通を自らの使命として課したチベット仏教の出家たちが行動基準としたイデオロギーと、中世より現代までの弘法の歴史の概略。石濱氏のサイトに全文が収録されている

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チベットをめぐる国際環境(1)
 チベットの動静が東アジア国際情勢を揺るがす震源地となっていた時期があった。一つは7-9世紀。吐蕃王朝の時代、建国まもないチベットはたちまち東アジア有数の軍事大国に成長し、おおきな勢威をふるった。いま一つは16-18世紀。ユーラシアの遊牧民社会の東部をチベットを源とする仏教信仰が覆い、チベットの聖職者が遊牧王権の権威づけを担った。
森安孝夫 「中央アジア史の中のチベット」
  書名:北村甫教授退官記念論文集 チベットの言語と文化
  編著:長野泰彦・立川武蔵
  出版:冬樹社、1987
  ISBN :4-8092-1110-X
  掲載:pp.44-68

中央アジア史の中のチベットという観点から、吐蕃王朝時代のチベットを巡る国際環境を概説。

中村淳 「チベットとモンゴルの邂逅 はるかなる後世のめばえ」
  書名:中央ユーラシアの統合
  主編:杉山正明
  叢書名:岩波講座世界歴史 11
  出版:岩波書店1997
  ISBN 4-00-010831-X
  掲載:pp.121-146
チベット仏教を背景とした国際秩序の理念の成立と展開について、関係する諸研究を紹介しながら概説する。

書名: 康煕帝の手紙
編著:岡田英弘
叢書名:中公親書559
出版:中央公論社 1979
北アジアの覇権をめぐる清国の康煕帝とオイラトのガルダンの戦いを、康煕帝の書簡にもとづいて描く。
チベットは単なる脇役、もしくは二人の英雄をめぐる背景として登場しているにすぎないが、十七世紀後半のチベットを巡る国際環境がどのような状況であったかが明快に描かれている。

書名: 最後の遊牧帝国 ジューンガル部の興亡
編著:宮脇淳子
叢書名:講談社選書メチエ41
出版:講談社 1995
ISBN 4-06-25804-1
17−18世紀に北アジアから中央アジアにかけて勢威をふるったオイラト族についての通史。ジューンガル部は、17世紀末にオイラトの覇権をにぎり、その最盛期を現出した部族。
本書も、この時期の東アジアの覇権抗争において、チベットが要の位置を占めていたことをうかがうことができる。

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チベットをめぐる国際環境(2)
 清国の全盛期、チベットはモンゴルや東トルキスタンなどとともに、藩部として清国の支配体制下に組み込まれていた。辛亥革命(1911)による清国の滅亡の後、これらの諸国・地域のうち一部は独立を達成して国連加盟国となったが、残る大部分は「分割することのできない中国の一部分」として、現在も中華人民共和国の統治下にある。
 チベットの現在と将来を展望する上で、かつてチベットと類似した境遇にあったこれらの諸国・地域の状況と対照することは、非常に有益である。

中見立夫 「モンゴルの独立と国際関係」
  書名: 周縁からの歴史
 叢書名:アジアから考える3
  出版:東京大学出版会,1994
  価格:\3,000

中見立夫 「モンゴルとチベット」
  編著:間野英二;中見立夫;堀直;小松久男
  書名: 内陸アジア
 叢書名:地域からの世界史6
  出版:朝日新聞社1992
  価格: \1,359

堀 直 「中国と内陸アジア」
  編著:間野英二;中見立夫;堀直;小松久男
  書名: 内陸アジア
 叢書名:地域からの世界史6
  出版:朝日新聞社1992
  価格: \1,359

新免康 「辺境」の民と中国──東トルキスタンから考える
  書名: 周縁からの歴史
 叢書名:アジアから考える3
  出版:東京大学出版会,1994
  価格:\3,000

王柯 「ウンマと中華の間──清朝統治下の新疆ウィグル社会」
 書名: イスラーム世界とアフリカ
 叢書名:岩波講座世界歴史21
 出版:岩波書店,1998
 ISBN 4-00-010841-7
 掲載:pp.97-118
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現代中国の民族問題
 現代中国における民族問題としてチベットを取り上げたものとして、以下のようなものがある。研究書のコーナーでも取り上げるが、この問題についての入門として、まず目を通すべきものである。
編著:加々美光行
書名: 知られざる祈り 中国の民族問題
出版:新評論、1992
ISBN :4-7948-0120-3
編著:毛里和子
書名: 周縁からの中国 民族問題と国家
出版:東京大学出版会、1998
ISBN :4-13-030115-2

編著:松本高明
書名:チベット問題と中国 問題発生の構造とダライ・ラマ「外交」の変遷
出版:アジア政経学会、1996
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多民族国家・中国という観念の成立過程
 チベットを「分割することのできない中国の一部分」と規定する、現行の「多民族国家・中国」の観念が、中国においていかに形成されてきたかを検討する。
斉藤道彦「中国近代と大中華主義──清末から中華民国へ──」
  書名:民国前期中国と東アジアの変動
  収録:第二部 民国前期中国の政治 第一章(pp.223-292)
  叢書名:研究叢書21
  出版:中央大学出版部,1999
  価格:\6,600

章炳麟(章太炎)「中華民国解」
  収録:『民報』1907年第7号    
著者(1869−1936)は孫文・黄興とならんで「革命三尊」とされる人物。新国家の国号として採用すべき中国・中華等の語義について検討し、「中国」の領域や、「中国人」の範囲について構想した論文。『民報』は共和主義革命を目指す反政府秘密結社「中国革命同盟会」の機関誌。
 このサイトではこの論文の全文和訳を準備中である。

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チベット臨時政府の公式見解

書名:チベットの現実
編 輯:チベット亡命政府 情報・国際関係省
翻 訳:南野善三郎
出 版:風彩社,1995
 原書名:TIBET:Proving Truth from Facts
 編 輯:Information and International Relations Central Tibet Administration
 出 版:

書 名 :チベット入門
編 輯:チベット亡命政府 情報・国際関係省
翻 訳:南野善三郎
出 版:鳥影社,1999.05
ISBN 4-88629-094-9
 上記の全面的な増補・改訳版。地図・序文・付章・索引などが新たに追加される。
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中国政府の公式見解
 中国の公式見解では、いま多民族国家・中国を構成している諸民族が、古来からこのような枠組みで分割できないひとつの多民族国家を形成していたとされる。この主張においては、漢民族の国(土地)が一貫して多民族国家・中国の「内地」「本土」であり、周辺の国(地域)は「地方」となる。そして「内地」を統治している歴代政権が一律に「中国の中央政府」、その他の諸民族の政権は「地方政府」と位置づけられている。

書名:西蔵主権帰属与人権状況
編輯:国務院新聞辨公室
出版:北京・民族出版社,1992
ISBN 7-105-01698-1
 日文版書名:チベットの主権帰属と人権状況
 編輯・出版:国務院新聞辨公室 1992

標題:チベット自治区における人権事業の新たな進展 チベット白書
編輯:国務院新聞辨公室
掲載:『北京週報』1998 No.10. pp.12-24
出版:北京週報社,1998

下記の二文献は中国政府の主張をより具体的に説明
 『西藏地方与中央政府関係史』
  『西藏歴史地位辨 評夏格巴『蔵区政治史』和范普拉赫『西蔵地位』』

こちらにも関連文献を多数掲載
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