研究雑誌   1999.09.30公開/2002.09.10更新

このコーナーでは、チベット史の研究論文を掲載する学術雑誌を紹介します。


 学術雑誌の発行主体としては、主として研究機関・学会・大学(大学院・学部・学科)などがある。
研究機関と機関誌
 チベット研究 (歴史にとどまらないが)を専門テーマとし、学術雑誌を発行している研究機関として、ラサに西蔵社会科学院(bod ljongs spyi tshogs tshan rig khang)が、インド・ダラムサラにLibrary of Tibetan Works & Archives(LTWA, bod kyi dpe mdzod khang)が、中国・北京に蔵学研究中心がある。日本ではアジア全般を研究対象とする研究機関として東洋文庫があり、その下部機構のチベット研究委員会が、チベット学全般に関する研究を行っている。これらの機関は以下のような機関誌を出版している。

*西蔵社会科学院・・・『西蔵研究』
*Library of Tibetan Works & Archives・・・THE TIBET JOURNAL
*蔵学研究中心・・・『中国蔵学』
* 東洋文庫・・・『東洋学報』
 そのほか、言語文化や仏教学などを研究する機関の出版物にも、チベット史もしくはチベット史に関連した分野の研究論文が掲載されることがある。
 チベット史関係の研究論文が特によく掲載される研究機関の機関誌には、次のようなものがある。
*東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所・・・『アジア・アフリカ言語文化研究』Webサイトあり
*成田山新勝寺・・・『成田山仏教研究所 紀要』
 山口瑞鳳先生がしばしば寄稿
*Istituto Italiano per il Medio ed Estremo Oriente・・・Serie Orientale Roma (Rome Oriental Series)
 東洋学関係の単行本や論文集の叢書。ジュゼッペ・トゥッチ氏、ルチアーノ・ペテック氏、ザヒルッドゥン・アーマッド氏らによるチベット関係の単行本や論文が収録されている。
学会誌
 「学会」とは、特定分野の研究を目的として広く会員を公募し、会員の交流や研究発表会の運営、会員の研究成果を収録する機関誌の発行などを目的とした団体である。実質的には特定大学の学部、学科、専攻などの教員・院生に依拠して運営されている団体も多いが、学会の機関誌は、大学(大学院・学部・学科)の紀要等が寄稿の対象を所属の教員、院生等に限定しているのとは対照的に、全ての会員に投稿の資格を認めみとめ、幅広い層から寄稿を募るという姿勢をとっているものが多い。
 チベット研究を専門テーマとし、機関誌を発行している学会としては、国際チベット学会、日本西蔵学会などがある。これらの他にチベット史に関する研究発表や論文掲載が行われる学会としては、世界史または東洋史あるいは内陸アジア史等チベットを含む地域の歴史を対象とする学会のほか、モンゴル・中国などチベットと深い関係を持つ地域の歴史、あるいは仏教学・「言語文化」などの研究を標榜する学会の動向にも注意を払う必要がある。
 チベット史もしくはチベット史に関連した分野の研究論文をしばしば掲載する雑誌としては、次のようなものがある。
*日本西蔵学会(東京都)・・・『日本西藏學會々報』最近紀要化された
*国際チベット学会(International Association for Tibetan Studies)の紀要
*中央ユーラシア学研究会(豊中市)・・・『内陸アジア言語の研究』
*内陸アジア史学会(東京都)・・・『内陸アジア史研究』

*佛教大学・鷹陵史学会(京都市)・・・『鷹陵史学』
 もとは同大史学科の機関誌。のち学会誌へ。佐藤長先生がしばしば寄稿。
*早稲田大学・東洋史懇話会(東京都)・・・『史滴』Webサイトあり
 同大の東洋史学専攻の教員、院生、学部生、卒業生をメンバーとする懇話会の機関誌。石濱裕美子先生による寄稿あり。

これらの学会や雑誌の特徴や書誌情報など、より詳しい解説は現在準備中
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