D フィルムで撮る

映像メディアはデジタル化が進み、8mm・16mmフィルムは今、衰退の一途をたどっています。フィルムによる製作を行っている自主映画作家は年々減少し、ビデオによる製作が一般的になりました。

しかしながら、映像表現にこだわるならば、ビデオで撮るか、フィルムで撮るか、テレビモニターでの上映か、スクリーンでの上映か、作家がその違いを知っておくことは、極めて重要であると私たちは考えます。何が自分の表現にふさわしいかを判断するのは作家自身ですが、それらの選択には作家としての明確な意志が必要です。

私たち幻燈舎映画は、ビデオ・ドキュメンタリーから映画製作をはじめ、より豊かな表現を模索するうちに、時代に逆行する形で’97年に8mmフィルムに転向、現在は16mmフィルムによる製作に取り組んでいます。模索の過程には、私たちが映画に求め続けてきたひとつの意志がありました。

光と闇を描く。なかでも果てしなく広がる心の「闇」に、人間の深い感情や心のゆらぎを描こうとしたのです。フィルムの映像は、観客をそれぞれの「闇」へと向かわせます。「闇」に葬られていた記憶をひとつひとつ紡ぎ出すような力を秘めているのです。フィルム映像が持つ光と闇のコントラストの美しさに、私たちは映画表現の可能性を感じずにはいられません。

フィルムでの映画製作は、技術的にも資金的にも困難を要することが明白です。しかしながら、映画作家としての意志を持ち、それを貫く姿勢を大切にすることが、表現者としての責任であると私たちは考えているのです。

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