E 予算を組む

映画は芸術であるにもかかわらず、絵画や彫刻といった表現とは違い、必ずお金の問題がついてまわります。自主映画であっても、質の高い作品を製作するには8mmフィルムで数十万円、16mmフィルムでは数百万円という大金が必要です。

ところが、商業映画のプロデューサーでさえ「ざるにどんぶり」と揶揄されるほど日本映画の予算管理はいい加減なものだといわれてきました。そんな有様ですから、自己資金で好きなように撮影する自主映画では、作品が完成しても製作にどれだけ費用がかかっているのかさっぱりわからないというヒドイ状況が常識になっています。

しかし、資金力の乏しい自主映画こそ、無駄な出費を極限まで押さえ、少しでもリスクを避けるために、徹底した予算管理が必要だと私たちは考えています。また予算を組むことで、製作進行の細部にまで至るあらゆる問題点が明確になります。

例えば、適切なスケジュールを立てなければ、予算を組むことはできません。そのためには撮影場所の状況や、俳優の予定、撮影時間帯、季節と天候、機材の都合など、撮影に関するあらゆる状況を把握しておく必要があります。それで、進行に問題が生じるようであれば、解決方法を探らなければならないのです。

もちろん映画の現場には予測のつかないようなトラブルが発生しますが、そうしたリスクも含めたうえで予算を組んでいくことが大切です。また、何が何でも予算の項目を守るということではなく、あくまで作品主導で、現場の状況を汲みながらトータルに予算の凹凸をならしていくことが重要です。つまり予算を組むことは、脚本とは別のもうひとつの設計図をつくることなのです。

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