![]() |
![]() |
![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
目次-更新履歴-よりぬき日記 6/3 編集長、万引き捕まえる。 いやはや。昨日の夜の出来事である。バイト先のコンビニが忙しく、懸命に働いていた。その目の前を挙動不審のオッサンがブツクサつぶやくようにして店を出ていったのだ。 変な人の宝庫といってもいいくらいに、普段からおかしな人が多い店なので、その時はそれほど気にもかけなかったのだ。忙しいのに変なのにかまってられるか。 その変なオッサンが出ていった後、並んでいたオバチャンが「今の人、ウイスキーを盗んでいってたでぇ」と言った。 「え、そうなんですか?」といってすぐに追いかけた。間に合わないかと思ったらそのオッサン、チンタラ歩いていたのですぐに追いついた。声をかける。 Bin「すんません、お会計を済ませていない商品はありませんか?」 オッサン「はぁ、そんなん、知らんわ」 Bin「そのカバンの中にウイスキーが入ってませんか?」 するとオッサン、開き直ってつぶやいた。 オッサン「確かに一本カバンに入っておる。しかし、見逃せ!」 頼むそぶりとか詫びるそぶりもなく、殿様のようなセリフ。おいおい、自分でバラしてどうする?ラチが空かない。そうこうしているうちに副店長が後ろに来ていたので、オッサンの相手を交代して俺が警察に通報しに行く。 オッサンはそのまま逮捕されて一件落着かと思った。ここからさらに話は進む。第2章。初めの逮捕者であり、第一通報者である俺は事情聴取のため、警察署に行かなければならなくなった。大した事件でもないのですぐに終わると思い、警察署まで行く。 初めて入る刑事課。そうか、こんな小さな事件でも刑事が扱うのか。知らんかった。天井を見上げると間抜けなプレートを発見。 「知能犯係」 なんじゃそら?インターネット犯罪でも調べるのか?と思ったが、そのフロアにはパソコンらしき物は無し。ワープロが一台あるだけ。どうやって知能犯と対抗するんだろう?眼鏡の博士クンタイプの刑事がいたら爆笑モノだったのに。 よそ見をしているうちに事情聴取が始まる。ひと通り状況を話す。これで終わりかと思ったら、辺りがざわついている。何だ?よくわからん。単純な事件じゃないか? 刑事「あのね、○○君」Bin「は、はい」 刑事「犯人が酒を盗む瞬間を見た主婦の方ってのはもう、どこにいるかわからないよね」Bin「はい」 そのオバチャンは俺が通報している間に帰ってしまっていたのだ。 刑事「君は直接現場を見たワケじゃないよね」Bin「はい」 刑事「逮捕権って警察にしかないんよ。だから現行犯でない犯人の身柄をお店で拘束したことって違法になるねんな」 なに?俺が逮捕されるの? ミイラ取りがミイラに。ボケてる場合か?Bin。意味が違う&絶体絶命。こんなところで捕まっているヒマはない。「自分でやる!」をまだ創刊号しか出していないのだ。革命を起こすことなく獄中入りか? 刑事「モノは相談なんやけど…」Bin「は、はい」 刑事「この一件を、君は初めからあの男を怪しいと思っていて、男のペチャンコのカバンが膨らんでいることに途中から気が付き、主婦の通報で盗みを確信したので追いかけた…ってことになったら、違法では無くなるんやけどな」 それはどういう事だ?うーん、これはいわゆる「調書を改ざん」するということなのか…少し悩む。結果即決。 Bin「僕も怪しいと思ってたんッスよ、初めっから!」 そうだ、Bin。お前は決して逮捕されちゃいけないんだ。特にこの時期には。というか、なんで俺の行為が違法なのかもよくわからん。どうも、万引きは現行犯でしか逮捕しちゃいけないらしい。それ以外は見逃すほかないみたい。 そうと決まってから、調書のつじつまを合わせるのに2時間もかかる。いやぁ、実にいろんなことを訊かれてしまった。生年月日から住所から、いつからコンビニで働いているのか、何時何曜日に勤務しているのか。オッサンは何時何分にどの位置にいて、どの段階で怪しいときが付いたのか等を訊かれる。俺個人のことを訊かれる方が多かったかもしれない。 何にもしてねぇっすよ、刑事さん! 腹が減ってもカツ丼が出る気配もなし。当たり前か。 その間、別で聴取を受けていた副店長は店に戻り、万引きしたオッサンは取り調べも終わりブタ箱に入っていた。俺だけコッテリ事情聴取。途中で寝そうになった。 しかしあれだけ細かく調書を取ったり、証拠を集めたりすると、日本の検挙率は世界一だというのが実感できたね。署内がヒマだったからか知らないけど、刑事課全員がこの万引き事件で動いていた。奥の古株そうな人はテレビを見てたけど。 事情聴取がやっと終わり、何とかつじつまを合わせることが出来た様子。店まで警察の方に車で送ってもらった。(パトカーでない車で)店に戻ったのは夜中の2時頃。最後に車から降りるとき、警察の方がこういった。 ご協力ありがとうございます。 うーん、複雑な気分。良いことをしたのか、悪いことをしたのか。貴重な体験をしたのでヨシとするか。 |