How to 弾き語り?
その2(全5話)
3月18日(土)
PM 8:20

そのお父さんの隣4mくらいの所で、女の子が弾き語りをしていた。

10代真ん中くらいか?

「ちょっと取材、いいですか?」
「いいですよ」

名前はさおりさん。

年齢を聞いてみた。
「14才です」

え、14才って…。さっきまで、なかなかシブイ曲を演奏していたのだ。

山口百恵の「いい日、旅立ち」や、プリンセスプリンセスの「M」などを。

どうやって曲を知ったのかを聞けば、CDのレンタルショップで借りて覚えたらしい。

「しかし、女の子一人の弾き語りって珍しいね。どこから来たの?」

「静岡です」

はぁ!?

静岡から大阪へ。なんでまた…。

「弾き語りで稼いだお金で旅してるんよ」

うーん、ちょっとした驚き。

いや、すごい驚き!!
今時の14才の女の子は春休みには弾き語りで旅をしてしまうくらい、エネルギッシュなのか?

それとも彼女が特別なのか?

「え、弾き語りってそんなに儲かるの?」

「オジサン好みの選曲で演奏すれば結構なお金になるんですよ」

これはビックリ。危険なことはないのか?

「この前は博多にある中州のスナックで弾き語りをしました」

まったく恐いもの知らずなのか?
聞けば、泊まるところがない日は野宿をするという。

「今日は大阪の友達の所に泊めてもらうんですけど…」

弾き語り同士の横のつながりで、旅は何とかなるようである。

「それから…」と、話を続けようとすると、後ろから質問を遮る人が。

さっき取材をした「フチグチ君」が友達を連れてやってきた。

「自分、静岡から来てるらしいなぁ!静岡から来たんやったら、シュンシュンって奴、知ってる?」

「知ってる、知ってる!」

ん?、どうやら彼らには共通の知り合いがいるようだ。

「俺が静岡に行ったとき…」

え、君も旅をしてるのか、フチグチ君?

最近の10代は簡単に旅に出るのか?

もっと聞きたかったが、どんどんローカルな話題で盛り上がる。

九州に行った話なんかで。

俺、完璧にほったらかされる。

なんとか合間をついて、質問を続ける。

「結構、みんな旅をしてるもんなの?」

「してる人はしてるね」

そうか…。

テレビで流行る前から、みんなやっていたらしい。

さおりさんが初めて弾き語りを始めたのは、なんと小学校の5年生の頃。

ピアニカのみで路上で演奏、50人くらいを集め、中には泣き出す娘もいたそうだ。

うーん、路上にはひょっとしてすごい才能が埋もれているのかもしれない。

この記事が掲載される、「自分でやる!」創刊号を郵送する約束をして、次の場所へ行く。
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