湾岸開発の失敗隠し?誰のための大阪五輪か


 そもそも大阪オリンピックの計画はどこから起こってきたのでしょうか?大阪市議会でオリンピック誘致が議論されたのは、1992年1〜3月。その1991年4月27日付けの朝日新聞朝刊に「大阪湾ベイエリア開発、年内に推進機構設立」という記事があります。その中で、「大阪湾ベイエリア開発整備のグランドデザイン」の1つのシンボルプロジェクトとして「ベイエリア都市連合によるオリンピックの開催誘致」が上がっています。

 大阪オリンピックは、大阪市の湾岸開発のシンボルプロジェクトとしてバブルの時期に考え出されたものなのです。オリンピックには合計1兆円程度の公共事業がついてきますから、これで得をするNo.1は間違いなくゼネコンです。

 長良川河口堰、諫早湾干拓、吉野川河口堰、神戸空港、びわこ空港・・・。ゼネコン型大規模開発事業は、環境を破壊するだけでなく、経済的にもプラスにならないことがわかってきて、各地で見直しの動きが広まっています。

 大阪市でも、WTC(ワールドトレードセンター)やATC(アジア太平洋トレードセンター)の赤字が問題になるなどベイエリア開発の失敗がようやく目に見えてきました。しかし、ここにオリンピックがあるのです。もし、オリンピックのために大阪湾のベイエリア開発が既存のまま進み続けることになるのなら、「オリンピックは湾岸開発の失敗隠しに大いに役立った」ということになります。

 大阪市は、大阪オリンピックを「まちづくりの延長上のものであり、特別に過大な公共投資を行うわけではありません」と説明しています。しかし、大阪市がいう「まちづくり」とは、土地が全く売れないコスモスクエア、赤字を生み続けるWTC、ATC、OTS(地下鉄)等からなる湾岸開発のことなので、後にツケを回さないということではありません。

 大規模公共事業、建設後の毎年の維持管理のために生み出される借金のツケは市民の税金でしか払う方法はありません。大阪オリンピックは、大阪市民にとってマイナスの経済効果をもたらすでしょう。


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