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ゴールドコースト通信 
闘うGC日記 過去コラム集

ゴールドコーストにいる間に、色々なことが起こりました。2001年から2003年までの3年間の過去記事の抜粋です。

お医者さんイメージ 病気と闘え!「それは中耳炎なのか?」編

海外で病気になるって、心細いやら、寂しいやら、不安やら…困りますね、ホントに。
実際にどんな感じなのか?現地の診療システムは?少しでも様子がわかってもらえれば、と思います。
このセクションの日付表記は実際に起こった日から1週間後のものです。

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その1:それは突然来る

2002 05/23

それはある朝突然始まった。

目を覚ますと天井が左回りにぐるぐる回ってる。何事かと思い頭を持ち上げるとものすごい吐き気。吐いた。頭が持ち上がらない。目を開けているとベッドから落ちそうだ。ひとまず目をつぶって状況判断。

いったい何が起こったのか?What is going on ???

風邪?いや違う。貧血?似ているけど違う。

とりあえず病院だ。吐いているのはヤバイ。頭となんか関係があるに違いない。起きるのはやめておこう。

携帯で友達のJちゃんに電話。ベッドサイドテーブルに手を伸ばしただけでも恐ろしい目眩と吐き気。「助けて」これを言うのが精いっぱい。

Jが来るのを待つ間、家の中で物音を聞く。(あ、まだ誰か家にいる)Lかな、Mかな...ひとまずLに携帯で電話(叫べない)つながったので部屋に来てもらう。「病院へ連れて行ってください」

病院に向かう間Jに再び連絡。「XX病院に行くことになったのでそっちに直接来て」

あとは覚えていない。意識が途絶えたか。

気が付くと病院の集中治療室らしい場所。変なマスクしてる。あーTVの ERみたいだ。気が付いたのでマスク取り外される。点滴用の針を刺し込まれる。

日本のと比べてデカイ!!
痛い!! へたくそ!

So tiny you are!(あなたって、なんて小さいの)
大きなお世話だ。あなたは子供にだって同じ事するでしょ。体の小さいのと痛さとは関係ない。
血も採られた。これもへたくそで痛い。日本の看護婦の技術の素晴らしさが懐かしい。

「足とお尻とどっちに注射されたいですか?」

え、なにそれ!
「ええと、お尻に...(足なんて痛いに決まってる)」後で聞いたが吐き気を止める注射だそうだ。

恐ろしいほど寒い。エアコン効きすぎだ。
毛布は日本と違って綿のシーツみたいなバスタオルみたいな毛布。だいたい毛布って漢字にあるとおりウールかアクリルじゃないのか。寒い。

どれくらいたっただろうか、お昼過ぎたんだろうか、気づいたらJがいた。LはJと交代で帰ったらしい。

注射のおかげで気分は落ち着いたがすごい目眩はそのままだ。なんとかしてくれー。

この先どうなるんだろう。


その2:診断結果は?

2002 05/28

しばらく時間が経って落ち着いた所でドクター登場。

ドクター:「もう少ししたら帰っていいよ。耳からヴァイラス(ウィルス Virus のこと、Ausではこう発音する)が入って炎症を起こしたみたいだからね。」

え、帰っていいって、帰っていいの?

看護婦が来て点滴の針をはずす。
「さあ、立ってみて」
立てるわけないじゃん、目眩ひどいっていってるでしょ。ああ、また吐き気が。(吐く)
看護婦:「せんせーーーーー!」

ドクターカムバック。
「あれれー、スペシャリスト今呼ぶからね。」
あれれー、って何だよ(ちなみに「あれれ」ってのは、Oh dear とか Oh boy とか言ってる)。

スペシャリスト登場。脳神経医 Neurologist だそうだ。不安感200%増。
「CTスキャンね、頭のレントゲン取るからね。それ明日やるから今日はこのまま入院ね。」

ええ???
さっきは「帰れる」って言ったよ。
「帰れないでしょ、こんな状態なのに。」

入院決定。
看護婦「あ、点滴の針はずしちゃいました。」
スペシャリスト「あー、だめだよ、しばらく点滴ね、今晩いっぱいね。」

あー、またあのデカイ針。痛い。
もうやだー。「さす所ないわー」あるっちゅーに。

「ベッドを病棟に移しましょう。」
集中治療室から廊下へ。しばらく話している模様。寒い。ずいぶんそこで待たされてから病棟へ。個室だ。「他の人老人ばかりでうるさいからここにするわね。」 これは有り難い。あー、でもナースセンターの隣だ。うるさい。頭痛い、目眩すごい。

「ここもうるさいわね、もう一つの部屋にしましょう。」別の個室へ。

やっと落ち着いた。ふー。

「何か食べたい?お腹すいたでしょう。」
はいそうです、でも何が食べられる?

とりあえず何が用意できるか聞いてくるわね。
うーん、いいんだか悪いんだか。


その3:病院食

2002 05/28

おーじーの病院食に初挑戦。といっても別に食べたかったわけじゃない。

出てきたのはコンソメスープ、サンドウィッチ、ロールパン、アイスクリーム、イチゴ味のジェリー。そして紅茶。

洋食だ、あたりまえだけど。

これで一番軽い食事なのだそうだ。でもロールパンにはマーガリンがついてるし、サンドウィッチにもマーガリン塗ってある。ハムもチーズもはさんである。

気分が悪いのでスープとパンとジェリーのみ食べる。それから紅茶。これはイギリス文化から来てるね、おそらく。

日本のおかゆが恋しかった。入院した時のおもゆは米粒が入ってなくて回復するに連れて米粒の数が増えていくのが楽しみだった。

相変わらず掛け布団がないので寒い。綿の毛布3枚重ねて夜をしのぐ。

外国で病気ってつらいね。心細い。

その4:看護士

2002 05/28

こっちでは男の人も多いので看護士と呼ぶことにする。

病室に入ってくると「やあ元気?今晩この病室を担当するマークです。なにかあったらベルを押して呼んでください。」と名乗りをあげる。

しかし、病人に向かって「元気?」はちょっとなあー、決まり文句だからしかたないか。

察するに3人でチームになっていて、一人はレントゲンやら注射やらの手配、もう一人が点滴のチェックや血圧、体温、脈拍のチェック、もう一人はシーツやらトイレやらいろんな身の回りの世話、と分担されている。日本と似てるね。

一人カッコイイ女性の看護士さんがいてデカクてたくましくてそれはTVに出てくる看護婦さんそっくりだった。南アフリカから来たのだそうだ。黒人で私が思うに結構美人だ。でもやたらデカイ。私の一人くらい軽々と担げそうな体格の持ち主。

南アフリカは都会で犯罪が多いので安心して暮せない、と言っていた。GCでも犯罪はあるがほとんどが軽犯罪(空き巣や車上荒らしなど)なのでそんなのは怖くないんだそうだ。

日本の治安の良さはおそらく多大なカルチャーギャップを彼女にもたらすことだろう。

見舞いに来てくれたジョン君が言うにはここの私立病院はGC市民病院とは桁外れに患者への待遇がいいそうだ。

何はともあれ初めての病院泊である。
点滴の腕がしびれて痛い。夜中に様子見に来てくれて腕をさすってくれた看護士さん、ありがとう。


その5:CTスキャン

2002 05/29

夜が明けた。やたら眠い。
担当の人が変わって挨拶に来る。この人ちょっとキツイ感じの人。「いつまで寝てるの、もう朝よー!」

朝食とモーニングティー(この話は次回に)の後いよいよCTスキャン室へ移動。まだよく歩けないので車椅子。初めての車椅子だ!

寒いので毛布かけてレントゲン室まで押して行ってもらう。こっちの病院はなんとこの車椅子押して移動させる係ってのがあって、その人が行きと帰りと移動させてくれる。これは看護士/婦さんたちはやらない。

CTスキャン室につくとデカイ機械があってカプセルみたいなその機械に寝て頭を突っ込んでいく。シャキーンシャキーンと音がして連続で断層写真を撮っていく。

やたら気持ちが悪い。車椅子で揺られて移動したせいだ。「がんばれー、うごかないでねー」ああ、どうやら部屋の様子がモニターでわかるらしい。なんとか頑張る。

終わった途端に吐きそうになった。これはCTスキャンのせいではないけど、担当の技師の人はたいそう可哀相がってくれた。

それにしてもなんでみんな私に会うたびに「Tiny!」を連発するのだろう。私152cm(自称)あってそんなに極端にチビではありません。しまいには「バービー人形のようだ」とまで言われさすがにちょっとムカついた。タイとかシンガポールとかちっちゃい人結構いるよ、こっちには。

ともかく無事に結果も出て、異常なしとの事。頭に異常なしってのはかなり安心した。でもあと一泊だってさ、えー?「だってまだ歩けないでしょ」はい、その通りです。おとなしくもう一日います。でも入院費かさむなあ...

こっちでは外国人だから健康保険制度が適応されないので始めに全額払ってそれから個人で入っている保険を使って払い戻しするというシステムになっています。


その6:モーニングティー

2002 05/30

ココの病院食はジョン君に言わせるといい献立だそうだ。ジョン君は扁桃腺の手術でGC市立病院に入院したことがある。すこぶる快適ではなかったらしい。

この私立病院ではメニューが配られて毎回その中から好きなものを選べる。そのメニューもまるで飛行機の機内食のようだ。しかもそれよりは美味しい気がする。

でも私は軽食のみなのでスープとパンだけ。アイスクリームがムースになったりケーキになったりするだけだ。ジェリーもイチゴ味になったりオレンジ味になったり。

普通食だとパスタやらチキンのクリーム煮やらそれはいい匂いがする、ああ早く家に帰りたい。

朝食が終わると10時頃にお茶の時間、昼食が終わると3時頃にまたお茶の時間、である。小さいビスケットがついてくる。こんなにお菓子やら紅茶やら摂取して平気なんだろうか。日本では番茶が命、って感じだった。

冷たい水もポットに入れて毎日2度取り替えてくれる。水道の水でないことは味でわかる。

快適なのはいいが入院費が心配だ。

「明日には歩けるようになって退院できるよ。」そのとおりだと思いたい。


その7:いよいよ退院

2002 05/30

3日目の朝が来て昼が来て夜が来た。
ディナーも食べた。まだ先生来ない。
本当に今日帰れるの?

今日の点滴が終わりそうな頃やっと神経科の先生到着。
「頭には異状ないみたいだから帰っていいよ。でも絶対安静ね。一週間は自宅療養して来週うちのクリニックにいらっしゃい。」

やったーーー!

立ち上がる。一応立てるぞ。歩いてみる。歩けるぞ。
先生:「OK、OK。でも首を横に振ると目眩がでるからね。ゆっくり振り向くように。」

横を向いてみる。向けない。
まるで寝違えたみたいだ。気持ち悪い。
K:「目眩がします。」
先生:「ほらね、最初の3日間は薬飲んで寝てなさい。」
K:「はい、そうします。」

帰る時はじめて気が付いたが靴を履いてこなかった。担がれてきたからなぁ、靴までは頭がまわらなかった。どうしよう。

迎えに来たジョン君:「はだしでだってどってことないよ。」
K:「だってはずかしいよ。」
ジョン:「結構はだしで歩いている人いるじゃん、平気。おーじーになったってことにすれば。」
K:(...こんな形でおーじーの仲間入りをするとは...)

退院おめでとう>自分

かくしておーじーの仲間入りをした作者であった。


その8:番外編

2002 06/03

休んでいる暇がない、つーかびっくり仰天。
こんなオチがあっていいのだろうか。

病院費$200
スペシャリスト治療費$250
CTスキャン代$350
スペシャリスト通院費(3回)$270
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合計 $1070

外国で暮らすのって、つくづく頑丈な体が必要だと思います。はぁー。

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