フリマの行方 その3(2000.5.8) Seven ElevenとLawsonという名の便利雑貨店に赴き、無事1760円の小銭をGetした私であった。なんだか英語っぽく綴ると、それなりな店舗に見えてくるから不思議なのではあるが、ちゃんと調べてないので「綴りが間違っている」などというクレームや突っ込みは勘弁していただきたい。調べないというのには、きちんとした訳があるのである。そう、面倒くさいという理由だ。お菓子の空き缶にそれらの小銭を入れて、ジャラジャラと景気の良い音を響かせながら、便利雑貨店を出て、国道を南へ向かう。ゴールデンウィーク中は渋滞と相場が決まっているはずの国道ではあったが、ガラガラであった。予定より10分ほど早く会場となる公園に到着した。
なぜか、この公園、鶏だのカモだのが所狭しと放し飼いにされている。「旨そうだなあ」とか思いつつも、車で轢き殺してしまいそうになるため、7秒後には2本足の障害物に見えてきた。漫画みたく「コケッコッコー」と鳴く鶏に混じって、「受付はここですよう」という30代半ばの女性の鳴き声がする。いや、声がする。朝から非常に元気な甲高い声に、「旨そうだなあ」とか思ったりすることはない。
受付の女性の無駄に元気の良い、日焼けしたその顔にはフリマ仕切り達人、そうフリマ将軍の風格が漂っているが、受付に来る人々の多さに、既にパニック状態である。私などは同じ説明を3回ほど受けたりした。それ、さっきも聞いたよ。全然、達人ではない。私の目は狂っていた。キミはブルマ将軍に格下げだ。
なんとか受付を済ませ、場所取りに。場所係の髭おじさん曰く、「好きな場所をとって良い」とのこと、しかし公園の全体像を知らぬ私にとっては、人が集中的に流れ込んでくるナイススポットを見極める術はない。仕方なく「人が流れてくるのってどの辺りですか?」という間抜けな質問をしてしまった。「ん?この辺りがいいんじゃない?」と受付から5mと離れていない場所を指さすと、髭おじさんは「縦横、2mづつね」と言って、おそらくフリマ専用定規として数々の区画を計り続けてきたであろう2mの棒っきれで私の区画を計り始めた。出店区画を私に提供する際の、髭おじさんの選択基準は必ずしも「人の流れが集中すること」ではなくって、「髭おじさんが、あんまし歩かなくてもよい距離」であった。百戦錬磨である。侮りがたし、髭おじさん。
それでも、受付に近いということもあって、確かにそこは人は集まる場所であった。初フリマの私にとっては、すごく上等な区画である。ありがとう髭おじさんよ。レジャーシートを広げ、段ボール箱から今日の商品達を出している途中、気になる事件が起こった。なんだか臭うのである。風に乗ってふわふわぁっと、あの独特のアンモニア臭が・・・。振り返ればそこは便所。「トイレット」とか「お手洗い」と呼ぶのは少し、ためらわれるような掘っ建て小屋がひっそりと佇んでいたのである。そうか、そういうことか。折からの強風に煽られ、ふわふわぁ、ふわふわぁ・・・。「フリマはナメられたら終わりである」という教訓を噛みしめ、泣きながら出店の準備をする私であった。