ありがとう |
「でねー、せっかく差し入れしてあげたのにアンディーったらテレちゃって なかなかありがとうって言ってくれなかったのよー! でもね、そこがカワイイってゆーか……って、庵、聞いてるの〜?」 ……なんでこんなことになったのだろう……。 俺はただ街中を歩いていただけのはずだ…。 「そんな感謝の一言が嬉しいのか……」 しまった…返事を選ぶべきだった…。舞は新しい話しの種に顔を輝かせた。 「ほら〜、女の子は『ありがとう』と『ごめんなさい』を素直に言えないと ブッ! 俺は飲んでいたコーヒーをふきだしてしまった。突然出てきた名前に驚いたのだ。 「なぜそこでヤツの名が出てくる!?」 もっと言いたいことがあったが、無駄な気がしたので言わずに言葉を飲みこんだ。 喜ぶ? お礼ごときで? 俺はやっと解放されて自宅に帰って来た。しばらくヒマを持て余していると、 「よーーー!庵ーーー!!会いたかったぜーー!1日ぶりーー!」 入ってくるなり抱き着いてきた京に聞くが、特に返事もせず(期待していなかったし)、 「あのな〜、今日、庵が好きそうなワイン売ってたんで買ってきてやったんだぜー! 頼んでないが…そう言おうとしたとき、舞の言葉を思い出した。 「あ……」 「ん?何?」 「……ありがとう………」 「…………………」 ほら反応がないぞ。変に思っているんだろう。 「京?」 庵の突然のお礼にどぎまぎしながら返事を返してくるその反応が面白い。 END −−−−−−−−−−−−−−−−−−− しらす:最後で力尽きてますね、こりゃあ・・・。短い小説・・・。 |