情炎


 

ある街の一角に、通る人はみんな思わず見てしまうような豪邸が建っていた。
その豪邸は草薙家と言う昔から代々引き継がれている家のものだった。

俺は草薙の人間ではなかったが、この豪邸に出入りしていた。
それというのも、草薙家の一人息子草薙京に何故か気に入られ、高額で買われていたからだ。

……娼婦として。

最初はそんな役回りで連れてこられたわけではなかったが、一度京に無理やり体を奪われ、
そんな関係になってしまったのだ。

今の俺にはどうしても金が必要だったから、どうでも良くなっていた。


「庵…こいよ…仕事だぜ…」

京がいかにも楽しんでいる様に近づいてくる。
こんな広い館で俺一人見つけることができるのは毎回の事ながら感心させられる。

俺は抵抗もせず、あっさり京の部屋に入っていった。


「もうシャワーはいってんだろ?さっさと脱げよ」

京の俺に対するこんな扱いにもなれた。俺は物同然にしか見られていない。

服を一枚残さず脱ぐと、クッションのいいベッドに腰掛けた。
京は上着だけ脱いで俺を押し倒す。

「抵抗もなにもねえとつまんねぇな…ま、いいけど」
少し強めに胸の突起に歯を立てると、びりっと電気が流れるような感覚がした。
京にしこまれた体はそれだけでびくりと振るえる。

「は…ずいぶん淫乱になったもんだな。こんなんで気持ちいいのかよ…。もっとして欲しい?」
「ん…して…」
京は再び突起に唇を近づけると、噛んだり強く吸ったりした。
どんどん体は熱くなっていく。

「んあっ…ん…もっ…と」
「そろそろしたもきつくなってきてんだろ」
そう言うと無遠慮に俺の熱の中心に手を伸ばした。

「ひぁっ…ッ!」
「うわ、もう濡れてんじゃん。マジ淫乱になったなお前」
ゆっくりと片手で自身を弄くると、すぐに限界に近くなったのが分かった。

「きょ…ッ!もう…イッ…!!」
「は!?もうかよ?まだだめだっつーの」
京がきつく根元を押さえる。すると限界ははぐらかされて快楽の波は俺の体をめぐった。

「…ッく」
「簡単にイかないように結んどくか」
ベッドの隣にある小さな引出しから細い縄を取り出すと、京は俺のにきつめに結びつけた。

「いっ……や…とって…」
「じゃあこれ、上手くできたら解いてやるよ。できるよな?」
そう言って京はジッパーを下ろすと京自身を俺の顔の前によせた。俺は早く楽になりたくて、
それをすぐ口に含む。

「んッ…ふ…んんっ」
「舌使えよ…」
言われた通りに舌を使うとくちゅくちゅといやらしい音が部屋に響いた。

「お前さ…八神家復興するために俺に買われてんだろ?」

俺ははじかれた様に顔を上げた。

確かに、数年前原因分からず八神家はつぶれ、その復興のため、
金が必要だった俺はここにきたのだったが…。

何故……知っている?

「オイオイ、何途中で止めてんだよ」
ぐっと頭を掴んで押さえつけられた。急だったので息苦しさに顔を歪めた。

「うっ…ぐっ―――!!」
「知られてないと思ってたのか?ククッ…惨めだなあ八神当主?
ま、なんで八神がつぶれたかなんて俺は知らねえけどな
興味もねえし?だから黙っててやったんだけど」

惨めさに息苦しさも手伝って涙がにじんだ。

草薙に並んで名家だった八神。いまではこのありさま。

主人と奴隷のようなものだ。

何も知られてないと思っていた京にはすべて知られていて。
それでもこのあさましい体はいまでも京を求めて疼いている。

「もういいぜ。いい加減辛いだろ?」
「く…はァ…っ」

今日は口から自身をひきぬくと、縄は解かないまま、俺に後ろを向かせた。

「なわ…っ!!も…おかしくなるっ…!!」
「上手くできたらっつっただろ?一度口はなしたじゃん」

京は冷たく俺を見下ろすといっきに自身を貫いた。

「アッ…アア―――っ!!」
後ろも十分に濡れていたので傷みは感じなかったがどうしても後ろが辛かった。

「あっはッ!も…ほどけっ…!!」
「……俺のことスキだって言ったら解いてやるよ」
後ろから京の笑い声が聞こえる。いかにも楽しそうに。

「…くッ!」
「あ、なーんだ、言わねぇの?」

「……きっ!す…きィ…きょお…ッ!!!」
「……いーぜ。解いてやるよ」
京は器用にするりと縄を解いた。

「あっ…!…ンあっ!!!」
縄を解かれた途端、俺はあっさりと絶頂をむかえたが、京は動きを止めなかった。

「あっ…な…に」
「俺がまだイッてねえだろ。自分がイイだけかよ?」
動きを早め、さらに俺を追いつめる。

「あっアッンッ!!あぁっ!!」
「……ッ」
俺は2度目の絶頂を迎え、京も俺の中にはなった。


事もすんで庵は力なくベッドにうまっている。俺はボーっとタバコをふかしながらじっと庵を見ていた。

体で、言葉で、どんなに汚そうとしても、コイツは恐いくらい綺麗なままで、
それは嬉しさと怒りを同時に俺の中に生まれさせていた。

はじめて見た瞬間から俺のものにすると決めた。
そのために八神だってつぶした。

「復興…?冗談じゃねぇぜ。何回だってつぶしてやるよ。
お前は俺のもんだ。絶対逃がさねぇ……」

俺はさらりと庵の髪に触れると、ゆっくりと微笑んだ。

END

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しらす:目指せ鬼畜!!!しかし、みごと玉砕!?しかもなんだか、オリジナル設定!?
おーっし、歯ぁ、食いしばれぇ!!
ばしっ!!!(←一人芝居)
約束どおり、春ちゃんに捧ぐ!(い、いらねー・・・)

 

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