2人でいるなら大丈夫 |
ある夜、突然の珍しい客の来宅に驚いた。 めったに自分から俺のところに来ることのないその客は、 出てきた俺を見てにっこりと微笑んだ。 「京・・・どうした?」 すると京は言う直前、少しだけ俯き、そして顔を上げ、満面の笑顔でこう言った。 「さよなら」 あいつのあんな顔を見たのはそれが初めてだった。 ・・・・夜は明け、雲一つない晴天。 真っ青な空の下には同じく青い海。 誰もが綺麗と感じるであろうこの海の浜辺に2人の青年が立っていた。 「・・・貴様の彼女には告げてきたのか?」 少し笑って断言すると、庵もまた少し微笑んだ。 「安心した?」 どちらからともなくキスをする。ちょっとして唇を離すとお互いを見つめた。 「言ったのは・・・紅丸くらいだぜ・・・あ、真吾にも言ったっけか? ふと京が真剣な顔になって庵の両手を握った。ずいっと顔を寄せる。 「な・・・後悔してねぇ?まだ間に合うぜ?」 「今更・・・本当にバカだな貴様は・・・」 にっこりと庵が微笑み、今度は自分から口付けた。 「好きだ・・・京・・・」 微塵も感じられない後悔の色。京は安心し、強く強く庵の手を握った。 そして庵専用の特別な笑顔で。 「俺も・・・大好き」 目を合わせ、海に向かって歩き出す。 海から生まれた命がまた海へ戻るように。 「じゃあ・・・行こっか・・・・庵☆」 誰かが言った。 心中しても来世で結ばれることはけしてない、と。 むしろそれは与えられた命を自分から投げ出す重い罪。 来世で再び恋に落ちてもまた同じ結果になるだけなのだ、と。 それでも良かった。 大事なのは今一瞬。 遠く離れた場所で別々に命を手放すなんてまっぴらだから。 命を失う最後の時だって一緒にいたいから。 深い海の中にも太陽の光がさしこむ。 冷たい水は呼吸を許さず、体温を奪っていくけど。 それでも目の前に君がいるから笑って死ねる。 そして2人はもう一度微笑み、口付けた。 END −−−−−−−−−−−−−−−−−−− しらす:死にネタかい!!そんなに好きか?私・・・。(書くのはネ!!) |