「草薙さんっ!!今日こそ練習!!付き合ってもらいますからね!!」
やっと授業も終わって、オレは一番に草薙さんの教室へやってきた。
いっつも逃げられちゃうけど、今日はそうはいかないんですからねっ!!
「あ、矢吹君」
草薙さんを見つけるより先にユキ先輩に声をかけられた。
いくら教室の中を見渡してもいないオレの探し人の行方を聞いてみる。
「ユキ先輩!!あのーー、草薙さんは……?」
そう聞くと、ユキ先輩はその答えを知ってるらしくて、くすくす笑った。
…………なんか、嫌な予感がするんですけど……?
「フフ…1歩遅かったみたい。たった今帰ったばっかりだよ」
「ま、マジですかーーー?!はぁーーー」
あーあ。また逃げられちゃったのか。
・・・・と、いつものオレならここで諦めてるんだけど、今日は違うんだ。
「じゃあ、オレ、行きます!ありがとうございました!!」
「え、矢吹君、京がどこいったかわかるの?家に帰ってるんじゃ
ないみたいだけど…」
そう聞かれてオレはちょっと嫌な汗をかいて、
「ハイ……。多分120%間違いないと思います……」
と、苦笑いで答えて、教室を後にした。
「ただいま〜〜〜!!いおりぃ〜〜〜〜〜vvvvv」
玄関あたりで気配を感じると思ったら、案の定、京だった。
玄関近くまで様子を見にきた俺に勢い良く飛びついてくる。
どうでもいいが、なぜ俺の家に当たり前の様に帰ってくるんだ、コイツは……?
「わかったわかった。わかったから離れろ。暑苦しい」
くっついたままの京をずるずる引きずりながらリビングへ向かう。……重い。
「なんだよーー。恋人の帰宅に可愛らしく『おかえりなさいv』とか、
言ってくれても良いんじゃねーの?」
草薙京もこの暑さで頭がやられたらしい。
……いや、元からか。
「そうか。では、恋人同士ではないから言う必要はまったくないな」
「つめてぇーなー。あんまり冷たいと…………」
急に京の声が真剣になって、天地がひっくり返ったと思ったら
俺は京に押し倒されていた。
「…キスするぞー……」
「…………」
どうせ、止める気もないんだろうと思って、目を閉じたその時。
・・・・・・ぴーんぽーん。
ぴーんぽーん。
『八神さぁーん!!草薙さんいませんかーー!?
八神さぁ〜〜〜ん!??』
「……………」
「……………………どけ。あの声は矢吹だろう」
「…………いーよ。俺が出るから」
「………………そうか」
がちゃ……。
「あっ!草薙さん!やっぱりここにいたんですねっ!
オレ、今日こそ稽古つけてもらおうと思って…………」
「はぁぁぁ…くらいやがれぇぇぇーーーーーー!!!!」
ゴァァアーーーー!!!
「どっわぁぁぁーーーーーーー!!!?」
「…はあ……」
俺は一人、リビングでため息をついた。
END
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しらす:イキナリパソ打ち第2段。参った。こういうノリ、しらすは大っ好きです。
最初は、真吾にカッコ良く稽古をつけてあげる京の話だったんですけど…。
おかしいなあ。どこで道を間違ったのか……?
タイトルが、行き当たりばったりっぽくって良いですね…って良いわけねえよ。
このあと、庵が全身やけどの真吾を手当てしてあげたりして、それを見た京が
やきもちやくわけですわ。いや、もう、ベッタベタ。
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