君の写真をとろう


――――――パシャッ!

「な、なんだ?」
突然シャッターを切られて珍しく庵が驚いた顔をした。
シャッターを切った本人は満足そうに笑う。

「何って…写真を撮ったんだよ。庵の写真♪」
「今更写真なんかとらんでもいつも顔をあわせているだろうが」
「そおそお!それなんだよ!」
京が近くにあったテーブルをバンと叩いた。

「俺たち大抵いっつもあってんじゃん?
だから庵の写真持ってないのに気づかなかったんだよ。
持ってりゃ、いろ〜んな事に使えるのに」
庵が呆れた顔をする。聞きたくないが一応……。
「…何に使う気だ……」
「ん?そりゃ〜持ち歩いたり、枕元に置いたり、
庵がいないときにはオカズに使ったり〜〜☆」
「な〜ん〜の〜オカズだぁーーーー!!!いっぺん死ねーー!!!

青紫の炎が京めがけて舞う。しかし京はそれを難なくよけてヘラヘラ笑った。
「まーまー。庵にもいいもんやるからさ☆」
そう言うと京はあらかじめ用意していたらしいものをポケットから取り出した。
それを見ると目の前にいる男の写真だった。普通の女性ならば例外なくキャーキャー
言いそうな『必殺京サマスマイル』をしている。

「どぉーだー!良く撮れてるだろー?大事にしろよっ!」
「いらんわーーーーーー!!」

言ったときにはもう京はおらず、1枚の写真だけが残っていた。

二日後。

「いっおりーーー☆☆」
いつもどうり、何の断りもなく京がズカズカ庵宅に入ってきた。

「なっ…京っ!?」
――――ガタタッ!!!
ずいぶん動揺した様子の庵がとっさに何かを戸棚に隠した。
そしてその戸棚を守る様にして京の方を向く。

「なっ、なんだキサマッ!急に入ってくるな!!」
「ん?なあ、今何か隠さなかった?」
「なんでもないっ!近寄るな!」
こんなにあせって絶対何かあると思った京は庵の言うことを聞かずどんどん近寄った。
それでも庵はどこうとしない。

「気になるだろー。見せろよー」
「くどいぞ!なんでもないと言っているだろうが!」
かたくなな庵に膨れた顔をする。
しかし、「それなら……」と、いつもの顔に戻って耳元で囁いた。

「……見せてくれねーとちゅーするぞー」
庵が何か言う前に深く口付ける。
舌を押し入れてからめると庵がはぁと息をはく声が聞こえた。
唇が赤く染まってきたのを見て、身を離すと庵はクタッと座り込んでしまった。
座ってしまうと守っていた戸棚が無防備になるわけで……。

京は遠慮なく戸棚を開けた。庵が小さく「あ……」と言ったがきにしない。
見るとシンプルな写真たてが一番上に入っていた。
おそらくコレをさっき隠したんだろう。
その写真たてには京があげた自分の写真が飾ってあった。

次に何を言われるか大体想像できる庵は真っ赤になってぷいっと横を向いた。
京は満足そうにニマニマ笑って庵を見ている。

「………庵ちゃ〜ん☆いらないんじゃなかったのかな〜?」
「うるさい!!単なる気まぐれだ!たまたま写真たてがあったから……」
「あーもー、素直じゃねーなー」
口ではそう言っても顔は微笑んでいる京は今度は軽くキスをした。

「俺も持ってるぜー☆ここに………」
ごそごそとポケットからロケットを取り出した。そこには庵の写真。……いまどき持たないだろう。
「ホラ!ここに来る途中で知ってるやつらに見せびらかして……」
「みっ…みっ…見せびらかすなぁ〜〜〜〜!!!」

ちょっと乙女モード入っていた(笑)庵が我にかえって京を殴り飛ばした。

END

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しらす:京ちゃん、キス魔・・・。いやん。つか、私がキスさせるの好きなんですね。
それにしてもいおりん、元気だなあ・・・。

 

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