罪深く愛してよ



「俺が憎くて仕方ないんだろう?もっと憎めば?」

ホントウ。

無関心でいられるくらいなら、世界で1番憎んでほしい。



「お前のことどっかに縛り付けて死ぬまでそのままにしておきてーな…」

ホントウ。

自分でも止められない独占欲。



「俺はお前が嫌いなんだよ…」

……ウソ。

本当はきっと殺してやりたいくらいに、

アイシテル。






「……っ!!」
庵が苦痛に顔を歪める。
薄暗く、生暖かい地下牢で、バラの茎の拘束が全身に巻き付いている。

焼き払うことはかなわない。俺が最高のマジナイをかけてやった。
草薙家の特別なマジナイ。
対八神家用の炎封じ。
ただし、ちょっとした儀式が必要だから戦闘には向かないけど。

何一つ身につけていない。バラの棘が直接肌に突き刺さる。
少し体を動かすだけで小さな傷が出来、血の道が体に出来あがる。

そんな状態にあっても、瞳だけは獣のような光をもって俺を睨んでいる。
拘束されているのに、今にでもその戒めを焼き捨て、殺しにかかってくるようなそんな緊張。
普通の人間なら同じ場にいるだけで気を違えるだろう、その殺気。
ただ、俺にとってはその全てが心地よいものでしかなかった。


モット、ニクンデ。

オマエハオレダケミテイレバイイ。


俺しか見えない様に、その瞳、固定してしまおうか…。
そんなことばかりを考えている。
だが、本当に全てが自分のものになってしまったら、俺は庵を簡単に解放してしまうかもしれない。

たとえ、庵の全てを俺のものにしたくとも、精神だけはそれが叶わない。
そんなギリギリのラインがたまらなくイイ。

俺は庵の髪を掴んで思いっきり自分のほうを向かせた。
その拍子にまた傷が増える。

「俺を憎んでんのって、この程度?」
「…!」
憎しみが、顔に現れる。隠そうともせずに俺に向ける感情。
殺気が、心地よい。

「はっ…たりねぇな。全然。もっと憎めよ。俺のこと…憎いんじゃねーの?」
いろいろな感情が入り混じっているんだろう。庵はじんわりと汗をかいていた。
屈辱、殺意、憎しみ…そして、疑問。

「・…何故…っ、貴様…はっ!」
「こんなコトするかって…?」

俺は低く、特別甘い声で教えた。


「決まってんだろ?俺はお前が大っ嫌いなんだよ」




そんな俺をどうか、

罪深く愛して…。



END

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しらす:鬼畜モードだったので鬼畜い小説とイラストを書いてみました。
なんともまあ、失敗が目立つ2つになりましたな。
水彩画が楽しかったからいいです。オッケーにしときます。
小説はダメですねこりゃあ。でも小説がダメなのはいつものこと。