DJ NOMOセンセの初投稿大長編小説です。
なんでも1年は連載できるらしいとのこと。
楽しみですね。

LastSurvivor(1)

プロローグ

 レーゼル海…。
 この世界の中で最も広い大洋はこう呼ばれていた。
 その広大な大海原のほぼど真ん中にひとつの小さな島国があった。
 その島国の名は「セロウェ」。大小5つの島から成り、ごく小規模な国であるが、レーゼル海域ではかつて1,2を争う豊かな国であった。
  それは、十数年前、島でレアメタルの一種が発掘されたことによる。わずか1グラムで十数万リル(だいたい70万円前後)という大変高価なもので、このレアメタルで一攫千金を目指した者たちがこの辺鄙な島国に次々と移ってきて、一気に発展したのである。
 それぞれの島の面積はごく狭かったために農耕などはほとんど行うことができなかったが、はるか数万キロ離れた大陸から必要な物資を連絡船で輸送したために、人々は特別に不自由を感じることはなかった。
 ディルフィネスの一家もまた、セロウェのゴールドラッシュ(金が取れたわけではないが、とりあえず一般にはこう呼ばれている)の時に大陸から海を渡って移り住んできた。クライブ・ディルフィネスは鉱山で成果をあげ、同じ時期にわたってきたオンタリオ・ センディーヌ一家、ウェッセル・レスティ一家と並び、セロウェ内でかなりの富豪にのし上がった。
 しかし、十年ほど経過し、鉱山のレアメタルがほぼすべて取りつくされてしまうと、国は徐々に衰退をはじめる。ゴールドラッシュ最盛期には3万人近かった人口も今では1万人にまで減ってしまった。ディルフィネス一家の生活もレアメタルが取れなくなってから だんだんと苦しくなっていった。
 そして、ディルフィネス一家で新たな動きが出てきた。
 クライブの息子、トレイスがセロウェから大陸に移ることを切実に願うようになってきた。さらに、オンタリオの息子ミシガンや、ウェッセルの娘クリシアも同様に考えを持つ ようになってきた。
 もともと家同士のつながりや、3人とも同い年であったことから3人はいつしか意気投合して、大陸のまだ見ぬ土地への想いを語り合うようになった。
 しかし、セロウェが衰退したとはいえ、まだセロウェでは強い権力を持っていた彼らの 両親がそれを認めるわけがなく、トレイスたちは自分たちの想いを実現できないままでいた。
 だが、トレイス達が16歳になったある日、彼らの行動を大きく変える事件が発生する。


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2000.02.25


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