「芹澤イクト」過去話:禍以前〜禍

第一章


ワァァァァアアアア
子供たちの喧噪につつまれた午後の公園・・・そこはひとつの聖域である・・
昼間の肌を刺すような日差しはもう薄れ、柔らかく世界を覆うようであった。
男の子も女の子も泥だらけになって駆け回ってると思えば、木陰で携帯用ゲームにいそしんでいる子もいる。
ウワアアアアア!
どこかでひときわ大きな声があがる。
「ケンカだ!ケンカだ!」
誰かが叫んだ。
わらわらとそこらの子供たちが集まってくる。
「うっせぇ、このば〜か!」
「どっちがばかだ、このばか!」
「へっ、ば〜かば〜かば〜かばかばかばかばかば・・・・ば〜〜か!」
「ぶわ〜か!この紙コップ!みそ汁!へちゃむくれ!へにょへにょぷー!しっぽ!」
・・・・子供にありがちなケンカである。相手より多く悪口を言った方が勝ちであった。
しまいには意味不明の言葉が飛び出す。
何が原因でこのケンカが始まったのか、もうどうでも良くなり、何とか言葉をひねり出すのに夢中になる。
そして・・お互いのボキャブラリーもつきた頃・・殴り合いのケンカへと移行する。
「まぁまぁ、もういいでしょ、そのへんでやめようよ・・」
木の上でヨーヨーをしつつ、にこにことこのケンカを眺めていた少年がようやく重い腰を上げて仲裁にはいる。
「うるせい!イクトは黙ってろ!」
「そうだそうだ!関係ねぇだろぉ!」
「まぁまぁ・・・」
少年は木から飛び降りると、喧嘩を始めた2人の間に体を滑り込ませるようにする。
ケンカをしている子供らに比べると一回りからだが大きい。
バゴォ!
喧嘩を始めた二人の・・・本当はお互いにねらいを定めてはなったパンチは、みごと間に入った少年の両頬に、同時にヒットしていた・・・・


この話の続きを・・・・

聞きたい (m(__)m・・・工事中)

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