分散分析(3水準以上、多要因のデータ)
分散分析は3つ以上の平均値の差(要因の効果)や、2つ以上の要因の効果について調べる手法である。
■要因と水準
分散分析を行なう際には、データがどのような構造をしているかを把握しておく事が大切である。
このため「要因」と「水準」の概念を理解しておく事が必要となる。
- 要因:データ(従属変数)に影響を及ぼし得る独立変数のこと。たとえば性別や学年は要因である。SPSSではこれを「因子」と呼ぶ場合もある。
- 水準:要因はいくつかの値を持っている。たとえば「性別」は「男」と「女」の値を持っている。このような値のことを水準という。
■変量因子と固定因子
SPSSで分散分析を行なう場合、「従属変数」、「固定因子」、「変量因子」ということばが出てくる。ここでは固定因子と変量因子について説明する。
- 変量因子というのは無数の条件の中から確率的に選んだ要因のことで、一般には
被験者を指す。
- 固定因子とは有限個の条件の中から選んだ因子で、一般には群や条件などを指す。
■分散分析の基本
分散分析は1要因でも3水準以上、あるいは2要因以上のデータに対して用いられる。
分散分析の結果明らかになるのは「要因の効果」である。
決して「差」が明らかになるわけではない。
1要因の分散分析には、要因が被験者間要因の場合は「完全無作為法」が、要因が被験者内要因の場合
には「乱塊法」が用いられる。
■SPSSへのデータの入力方法
- 基本的に1人の被験者のデータを1行に入力する。
- 「被験者間要因」は要因ごとに分類変数を用意し、その分類変数によってその要因の水準を指定する。たとえば3つの群がある場合、「群」という変数をつくり、その値を「統制群」、「実験群1」、「実験群2」などとする。
- 「被験者内要因」は、その水準数の数だけ変数を用意する。たとえば「試験時期」という被験者内要因が、「中間」と「期末」の2つの水準を持っているとすると、それぞれに対応する変数を用意する。
■分散分析の実行方法
- 分散分析の実行方法には何通りかの方法があるが、ここでは最も一般的なものについて述べる。
- グラフ作成や下位検定などのオプションは各自試してみること。
- どんなデザインの分散分析でも[分析]→[一般線型モデル]で実行できる。ただし、CRデザイン(被験者間1要因)に限って[平均の比較]→[1元配置分散分析]で実行できる。
- 被験者間要因のみの場合は[分析]→[一般線型モデル]→[1変量]を選び、従属変数と固定因子(群などを示す分類変数、いわゆる要因)を指定する。
- 被験者内要因のある場合は[分析]→[一般線型モデル]→[反復測定]を選び、最初に被験者内因子名を指定し、因子(いわゆる要因)の各水準に対応する変数を定義する。その後、被験者間要因を表す変数を指定する。
■関連する資料
分散分析の基本についてはこの文書を参照の事。また、「完全無作為法」と「乱塊法」などの数値例と
計算手順についてはこの文書を参照の事。
■データの入力例
1要因
完全無作為化法(between1要因)
乱塊法1(within1要因)
乱塊法2(対比の説明のための例)
乱塊法3(完全無作為法と同じような多重比較を行うための例。「乱塊法1」と同じ値であるが書式が異なる)
2要因
被験者間×被験者間
被験者間×被験者内
被験者内×被験者内
目次のページに戻る