ニィッと人の悪い笑みを浮かべる悟浄は、まるで獲物を見つけた肉食獣のように 凶暴な期待に満ちた瞳で八戒を見下ろしていた。 「嫌です、ごじょっ…!…んっ…」 押さえ込まれたまま上げた抗議の叫びは、物の見事に悟浄の口中へと消えた。 激しく首を振って逃れようとする八戒の顔を両手で固定して、悟浄の舌が口腔内を 暴れ回る。 ねっとりと絡む舌がきつく八戒の舌を吸い上げ、口蓋を舐めまわすたびに電流が 走るように快感が背筋を這い登る。 応えようとしない八戒を悟浄はどこまでも執拗に追いあげた。 「ん…ぅ…」 息苦しいまでに与えられる接吻。 悟浄に慣らされた身体はそれだけで熱を呼び覚まし、いとも容易く理性を押し流す。 紗がかかるように朦朧としはじめる意識に、押しのけようと悟浄の肩を掴んでいた 手に震えが走り、力が抜けた。 そうなってしまえば、後はもう悟浄のなすがままだった。 抵抗らしい抵抗もできずに、八戒は衣服を取り払われ───気付いた時には、 その身体をあますところなく悟浄の瞳に曝していた。 「や…ごじょっ…」 「ナニ?風邪治すの手伝ってくれんだろ?」 くくっと低く喉を震わせて悟浄の唇が八戒の首筋を滑る。 「…や…」 小さく跳ねる八戒の身体を悟浄の大きな掌が撫であげ、そこここに快感の波紋を 揺らす。鎖骨のあたりに唇を押し当てられ、胸の飾りに爪を立てられる。 悟浄の唇が首筋から胸、腹へと彷徨う度に、体内に熱が生まれた。 腹部に大きく走る傷に舌を沿わされれば、その下の薄い叢の陰から欲望が覗く。 「あ…イヤ…!…悟浄、イヤです!」 膝裏に手をかけられ、肩へと担ぎ上げられて八戒は逃れようと身を捩った。 低い笑いを落とした悟浄がわずかに勃ちあがりかけたものへと唇を寄せる。 「ああっ」 常よりも熱を帯びた口内へと招き入れられ、八戒は悲鳴を上げた。 無意識に跳ねる身体は、自身をより深く悟浄へと飲み込ませ、八戒に更なる悲鳴を 上げさせた。 腰を引いて逃れようにも、悟浄の大きな掌に骨盤を固定するようにきつく掴まれ、 それもかなわない。 悟浄の頭を押しのけようと両手で突っ張れば、首を振ることで刺激を与えられ、 引き剥がそうと深紅の髪に指を絡めれば、強く吸い上げられる。 八戒の形をなぞり蠢く舌の熱さに翻弄され、息があがる。 昂ぶる熱を、解放を求める焦燥にも似た快感が集中し始めるのを堪えながら、 八戒は必死に悟浄を引き剥がそうともがいた。 「悟浄…悟浄…離して…イヤです…離してくださいっ」 八戒は無駄と知りつつも、懇願せずにはいられなかった。 もしも悟浄が望むならば、この行為を悟浄に対して実行する分には躊躇いはない。 けれども、自分がされるとなると話は別だ。 それがどんなに悟浄の望むことだとしても、八戒は全身が燃え上がりそうな羞恥に 襲われる。穏やかに慈しみあって抱き合うことしか知らなかった八戒に、理性を かなぐり捨てて、我を忘れて求めあう激しさを教えたのは悟浄だ。 快楽に翻弄され悟浄の与えてくれる感覚だけを追いながらも、それでも八戒には どうしても羞恥が残る。 なぜ悟浄はこんなことをしたがるのだろうと、八戒は困惑しながらもなんとか それを止めさせようと悟浄の髪を強く引いた。 「悟浄…お願いですから…もう…」 八戒を呑み込んだまま悟浄がくぐもった笑いを漏らし、より強い刺激を与えられる。 舌を絡められ、きつく吸い上げられて、八戒の熱が弾けた。 「い…やぁああ」 両手で顔を覆い恥ずかしさのあまり泣き出してしまう八戒を、悟浄は軽々と うつぶせに返した。 悟浄の意図を察した八戒が、力の入らない手足で逃れようとするのを強い手が 引き戻した。腰を高く掲げられて八戒が泣き声をあげる。 「や…イヤです、悟浄…許し…ああっ」 ピチャリと卑猥な音をたてて、割開かれた双丘の奥が抉じ開けられる。 生温かいものが、ゆっくりとそこに潜り込んで蠢く。 その行為が八戒は何よりも、つい先刻までの行為よりも更に苦手だった。 悟浄を受け入れる場所ではあるけれど、そこを見つめられることも、まして舌を 向けられるなど恥ずかしさのあまり消えてしまいたくなるほどに苦手だった。 わざとなのだろう耳を塞ぎたくなるような淫猥な音をたてる悟浄に、八戒は イヤだと泣きつづけた。 「泣くなって…濡らさないと辛いのはオマエだろ?」 後蕾をそっとなぞりながら囁かれて、八戒はふるふると小さく首を振った。 「ごじょ…イジワル…」 涙声での抗議に悟浄が八戒の耳元に接吻を落としながら笑った。 「んな可愛い声を出すなよ。抑えがきかなくなっちまうだろ…」 ビクリと竦みあがった八戒に気を良くしたのか、悟浄がベッドサイドのテーブル からローションを取り出した。 「んじゃ、あとはコレな」 あるのなら最初から使え───という八戒の抗議は言葉になる前に飲み込まれた。 冷たいローションを塗り込められる感触に、ゾクリと肌が泡立ち、悟浄の節くれ だった長い指が八戒の内部を蹂躙し始めると、快感が呼び起こされる。 「あ…ご…じょぉ…」 悟浄は八戒を焦らすかのように内部の感じるポイントを掠めながら、決してそこに 触れようとはせず、一度は精を放ったというのに再び勃ちあがり滴を零している ものに指を絡めた。 意識が攫われる─── 押し寄せる快楽の波に思考回路が焼き尽くされて、悟浄だけを求めて荒れ狂う熱に 浮かされて、激情の渦に叩きこまれる。 指とは比べ物にならない悟浄の昂ぶりを感じて、八戒の視界がスパークした。 強いストロークで腰を打ちつけられ、最奧を抉られる。 律動の度に刻み込まれる快感に八戒は嬌声を上げ続け、悟浄の熱に狂わされる。 指の跡がつきそうなほどに掴まれた腰を揺さぶられ、最も感じる場所を突き上げ られて、悟浄をしか感じられなくなる。 悟浄…悟浄…悟浄…悟浄───! 「怖い…怖い…ご…じょっ…やっ…」 昂ぶる熱の解放を求めて煽られる激しすぎる絶頂の予感に、そのまま登り詰めた 高みから闇の淵へと叩き落とされるような恐怖に駆られて、怖いと泣く八戒の 身体を繋がりを解かぬまま器用に反転させた悟浄が抱き締めてくれる。 シーツに投げ出したままの手を肩に持ち上げられて、八戒は悟浄に縋りついた。 しっかりとその腕の中に悟浄の温もりを感じて、悟浄の逞しい腕に抱き締められる 安堵に包まれて、胸の奥にあたたかなものが満ちる。 「八戒…」 「あ…あ…ごじょ…」 耳朶を掠める優しい声に八戒が達し、八戒につられた悟浄が貫き止めるように 奧深くを穿って熱を放つ。 悟浄の脈動が快感の余韻に浸る暇もないほどに八戒を更なる絶頂へと押し上げ ───そのまま意識が弾け跳んだ。 どれほどの時間が経ったのだろう。 悟浄にいいように翻弄されて、八戒がぼんやりと意識を浮上させた時、不意に 下腹部に感じた冷たいものに、全身に震えが走った。 「おっと、アブネェ。動くなよ」 その声に急速に意識が覚醒する。 悟浄は八戒の大きく割られた下肢の間で笑っていた。 「なっ…何をしているんですか?!」 跳ね起きようとした八戒の目の前にナイフが付きつけられる。 思わず息を飲んで硬直した八戒に、悟浄は口端だけを吊り上げて笑った。 「切り落とされたくなかったら、じっとしてろよ」 ぐいっと腰を引き寄せられ、八戒は再びベッドに倒れこんだ。 光を弾いて煌めくナイフを片手に、悟浄は八戒の薄い叢へともう片方の手を伸ばす。 冷たい刃が皮膚を滑る感触に、八戒は総毛立った。 怯えるものをそっと握りこまれて、ビクリと緊張が走る。 低く喉を震わせて笑いながら、悟浄は手にしたモノの周囲にナイフを滑らせた。 悪戯な指に握りこまれて撫でさすられても、反応しないそれに悟浄がニヤリと笑う。 「ナニ…怖い?」 揶揄を含んだ問いかけに、八戒は呆然と瞳を見開いた。 悟浄のしようとしていることが理解できない。 「ご…悟浄?」 「ん〜もうちょっと」 ヒラヒラと器用にナイフを操って、時折、ナイフの峰を押し当てられる冷たい感触に 震えを走らせる八戒に小さな笑いを漏らして、結局、悟浄は八戒に傷をつけること なく作業を終えた。 「お〜しまいv」 満足気に顔をあげた悟浄が無造作にナイフをサイドテーブルに放り投げ、タオルで 皮膚に残ったシェービングジェルを拭われて、ようやく八戒は自分の身に起きた コトを理解した。 「…ま、まさか…」 わずかに身を起こして恐る恐る目をやったそこは、八戒の想像通りで、瞬時に 羞恥と怒りに血が上った。 「悟浄っ!あなたって人は何て事…」 真赤になって文句を言おうとした八戒の唇に、噛み付くように悟浄が唇を重ねてきた。 そのまま押し倒され抑えこまれてしまう。 八戒が舌を噛み切ってやろうかと物騒なことを考えた時、露になった牡を無造作に 握りこまれ、その痛みに身体が竦みあがった。 思わず悟浄の肩に爪を立てた八戒を、悟浄は意地の悪い笑みを浮かべて見下ろして いた。 「まさかと思うけど、自分が何をしたのか、忘れてないよなぁ…八戒さん?」 「ぼ…僕は、こんな…」 悟浄に握りこまれたものをゆるゆると揉みしだかれ、八戒はうめいて顔を背けた。 「あ〜そりゃだって、オマエの場合、ここしか無いじゃん。スネ毛ないし…」 言いながら悟浄は身体をずらし、形を変え始めたものへと舌を這わせた。 「それにこういうことがしやすくなって一石二鳥だろ?」 「ごっ…悟浄?!」 どこが一石二鳥だという突っ込みはさておき、八戒は抱え込まれてしまった腰を 取り返そうと慌てた。 「離してください、悟浄。仕返しなら、もう気が済んだでしょう?」 「え?なんのことぉ?」 「…ごじょぉ…」 泣き声をあげた八戒に、悟浄は精悍な男らしい美貌に滲む欲を隠すことなく口端を 吊り上げた。 「風邪治すの手伝ってくれるんじゃなかったの?」 「さっき、さんざんお手伝いしたでしょう?」 「え〜?だって、俺、まだ汗かいてないしぃ?」 言いながらすでに八戒の身体を彷徨い始める悪戯な指に、八戒の身体に再び熱が 呼び覚まされる。 「い…いやです…ごじょぉ…あっ…」 |
第3話はLUNAさんでした!やったあ!ヽ(^。^)ノ 「続き書いてくれますよね?」と脅して書かせた私を誰かほめてvv いやあん、泣いて嫌がる八戒が可愛いと思いません?(*^-^ *) しかし「逆襲ということで、毛刈り返し!と銘打って、八戒の アソコの毛を悟浄が剃っちゃったりして〜。」と言ったのは私。 そのネタを書いてくれたのはLUNAさん。 やっぱりこれは同罪かしら? でも「踊るアホウに見るアホウ、同じアホなら踊らなにゃ損損!」 という立派なお言葉もありますし。いいよね。(苦笑) |