今日も明日も無い場所で
見知らぬ女の手のひらの上で回る糸車
あの人の 命そのもののような深紅の糸
まるで命を流し込むようなカオで 糸をつむぐ彼女が
酷く憎らしく思えた

そうして 彼女は糸に唇を寄せる
この手でつむぐだけではまだ足りないといわんばかりに
まるで あの人に烙印を残すと 言わんばかりに

彼女の血で濡れたように 口紅が残る紅の糸

ああ あの人の運命は やはり血と紅に彩られているらしい

そう思いながら 僕は紅を洗うように血を滴らせる
他の誰かの烙印なんか要らない
コレは紛れも無い僕のエゴ
僕の血を吸い込んで
まるで雨に打たれたようにあの人の髪みたいに黒味を帯びた糸に満足し
そうして僕は 深紅の糸にキスをする

ささやかで醜悪な 僕の勝利宣告






*NEXT*





《言の葉あそび》