激しい雨の音の中、キィという音が混じった… 一瞬また襲撃か?と思ったが窓の外に際立った妖気は感じられない 僅かな音にさえ敏感になってしまったのは、いつからだったか… 手の中の銃を眠っている時さえ手放せなくなったのは… 『くだらねぇな… …んなこと考えていても仕方ねぇし…』 師の経文を取り返すため… 大妖怪・牛魔王復活を阻止するため… 妖怪達が自我をなくしたその理由を知るため… この旅は続く… だが、すべてを終えたとて旅は続く… 一人でも四人でも旅は旅… 光明師が最後に見せた人の旅路の終り… 『俺もまたこいつを誰かに譲り渡すために今だけ護っているだけなのか』 宿に降る雨より遠くに波の音が聞こえる。 寄せては返す波に攫われながら砂は留まる事を知らない 人の世に終りはあるのだろうか… 救いとは一体なんなのだろうか… ふと、壁にかかる時計を見た 薄暗い闇に時間を確かめれば、夜明けまだかなりの時間があった。 |