それは静かに、そして確実にせまっていた。..昨日とうってかわり仕事がはかどらずに、私は少しイライラしながら街の中をぶらついていた。
そして町外れを通りがかった時、遂に運命の歯車は回りだした。きっかけは一人の男だった。もはやその名も記憶には無いが、彼はひどく腹を空かせているようだった。そしてこの私に金をせびって来たのだ。はじめは私も構わずに歩き去ろうとしたのだが、彼は何処までもしつこく付きまとって来た。そこで私は「NO
GOLD!」とか叫びながら街を出た。が、彼は尚も食い下がってきた。そして、私の苛立ちが頂点に達したとき。
..もはや彼を追い回す男は無かった。そこには物言わぬ肉片が一つ転がっているだけだ。私は朦朧とする意識の中、「(..死体は、..皮を剥がないとな..)」等と心の中でつぶやき、その肉片に己の血濡れた刀を振るっていた。
..どのくらいの時が流れたのだろうか。はっと気付くと、そこにはバラバラになったかつて人だった肉片、そして何処からか「人殺しよ!フリークよ!」と言う叫びが聞こえてきた。「違う。私じゃない!私じゃないんだ!」と叫びながら私は、折しも計った様にそこに出現した光の球体に逃げるように飛び込んで行った。
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