Last update Sep.27,2001

burn the sun / ark

ジャズ、ネオクラ、フラメンコ、コア、デジロック、パワーメタル、なんでもござれな北欧屈指のギタリストにしてコンポーザー、元conceptionのトゥーレ・オストビー率いるarkの2ndで、その他の面子は最近のYngwie絡みの人材で固められています。

まずこのアルバムを聞いて一番の印象はYngwieもっとちゃんと使ってやれよ・・・です。 Yngwieのアルバムではまったく発揮されていない個々のミュージシャンの凄まじい力量が大爆発です。 マジであれだけ自分の演技指導通りであんなシンプルなことしかさせないのならこれほどのミュージシャンは必要ないですって。

とYngwieの話しをしていてもしょうがないので元に戻しましょう。 ジャンル的にはプログレハードってやつです。 1stではあまりにもマニアックでメロディ的にとっつきにくかった印象があるので試聴にとどめて入手していませんが、この2ndで大化けしました。 Dream Theaterとはまた違った手法ですがプログレハード界に突如現れた化け物バンドです。向こうよりももっとメタルで燃えます。 一番近いのは弾けまくったconceptionの3rdという趣です。

というわけで基本的にconception譲りなダークな雰囲気が全編に漂いまくっており、そのなかで各パートがフリースタイルではなくあくまでもガッチリとした明確な曲構成の中で激クールなバトルを繰り広げるというものです。このあたりがDream Theaterとの違いです。 そういったわけで明確な展開を常に追っているのであちらとは違い、ツボに嵌らないとダレるということがないのです。 聞くのにDream Theaterほど覚悟がいらないというか、上手くいえないんですけど。しかしこちらのほうが圧倒的に暗くミステリアスなのでそこがダメだとどうにも辛いですね。

そもそも一応プログレということになっていますが、どちらかというと曲構成の基本はパワーメタルであり、そのなかで前述のようにテクとセンスの粋を結集したという趣です。 3分とか4分でコンパクトにまとめられているのもその辺りの現れでしょう。 トゥーレの模索する独自のメタルの一つの集大成であり、新たなプログレッシブロックの可能性を示した作品でもあります。 もし聞いているのならばTony Macalpine辺りが大いに触発されそうな内容ですね。実際新譜のクロマチ〜でプログレッシブな要素を大々的にネオクラの中に導入していますし。

作品の出来にはまったく関係有りませんがメタルギタリストとしては抜群なファッションセンスも含めてもっと名が売れていい人だと思います。 Andy Timmonsと並んでその知名度に最も納得がいかないミュージシャンです。 この作曲能力とセンスはただ事じゃないです。 まず良いリフ、良い曲展開があり、そのなかで高度なミュージシャンシップを発揮するという手法は世間のダメプログレバンドにもっと学んで欲しいです。フリーセッションじゃないのですから。 そりゃスーパーギタートリオのライブみたいになるんならそれも良いですけどそんなこと出来るの世界中でもほんの一握りのミュージシャンだけです。

なお、流行は抑えるということなのかトゥーレお得意のフラメンコチューンも収録されています。さすがのクオリティです。メタル系でスパニッシュならテクといい作曲能力といいSteve Stevensと双璧ですね。実に素晴らしい。