Last update Nov.01,2000

バルドバレット / 戯画

やべぇ。これマジおもしれぇんでやんの。
おみそれしました。
はっきり言ってPCのアクションゲームなんてナメてた。

格闘ゲーム、それもバーチャファイター以降3Dモノが出てきてからはトント人気の無くなってしまった普通の2Dアクションですが、このバルドバレット 「相殺、タックル中は防御力上昇、浮かし技とコンボの導入」という 格闘ゲームの要素を巧くアレンジして取り入れていて非常に良く出来ています。これぞ世紀末を飾るにふさわしいハイブリッドアクション!

って、もったいないなぁ・・・ エロシーンカットしてPS2で出したら相当売れるだろうに。 といってもエロシーンがなくなるとこのゲームの場合は寂しいんで18禁上等!ですが・・・

まずはシステムから。
攻撃の操作系は三ボタン制。 それぞれが近距離、遠距離、ダッシュ中、ショートダッシュ中と状況に応じて変化するのでわずか三つのボタンでなんと都合12種類の攻撃を使い分けることが可能。 さらに使用可能な武器はストーリーが進むにしたがって増えていきます。

で、この攻撃は単純に単発で出すだけではなく先ほど述べた格ゲーの要素であるコンボとしても使えます。 コンボといってもボタンの順押しなんで、ちょいと出すだけなら至極簡単。

なのですが!一回のコンボの中で技の重複が効かないのと、 「ヒートゲージ」というオーバーヒートの導入によって手軽さとマニアックなやり応えの双方に実に絶妙なバランスが取られております。

このコンボシステムをさらに完成度の高いものにしているのが武器のアサインが自由という点です。 つまり、単純に割り振れるボタンを決められるだけではなく、 ショートダッシュなのかそれとも近距離なのかという部分まで含めて本当に任意で指定が出来ます。

さらに使用頻度によって武器が最大で二段階成長するので、 初期から持っている武器でも話が進んだ段階で戦力外となることはなく、 プレイヤー独自のコンボを心行くまで追求できます。

このシステムにすっかり惚れ込んでクリアー後に可能になるバトルモード今はまってます。 つうか、サイトのサバイバルランキングに載っているStage500とかStage600っていったいなんなの!?人間技??

自由度が高いにもかかわらずここまでバランスよくシステムが出来ていると対戦モードがないのが非常に悔やまれます。 ネットでオリジナルキャラ同士が対戦できたらさぞ盛り上がったろうに。 まぁ、さすがにそこまで望むのは酷か・・・

また各雑魚キャラもそれぞれ特徴付け(攻撃の)が上手くなされていてストーリーモードの通常戦闘も飽きもきません。

ストーリーのほうもシステムに引けを取らずなかなかの出来です。

まず雰囲気がいい! 会話の端々に登場する業界用語や隠語と思われる英語(多分・・・)やスラングの使い方が非常に効果的です。 未来モノということもあり、サイバーでテクノでジャンキーなハッカーもバッチリ出てきます。 そのハッカーと主人公が交わす会話の中に出てくる隠語が、この物語の中ではとうに過去の物と化した現在ネットのアンダーグラウンドで使われているものという演出は非常に巧いなと感心させられました。 わたしはミリタリー系はあまり強くないので詳しくは分からないのですが、 この作品を作るにあたって傭兵モノの映画や小説、漫画、アングラなどを研究されたのではないかと思います。

演出と言えば、 エピソードの最初と最後で真っ暗なバックの中にエピソードのタイトルが白地のかすれた書体で揺れるというのはかなりクールです。

これらハードなイメージに物語の舞台が中南米という設定を生かして インカだかアステカだかの神話のエピソードが色を添えているのもいいアクセントになっています。 メカの名前とか結構ここから取られていて、作品世界の統一感を生む助けになっていますね。

シナリオライターと演出担当まじで出来る!

まぁ、説明はほとんど出てこないので多少ミリタリーとかサイバーパンクの知識がないとこの世界には今ひとつ入り込めないでしょうが、一々テキストの中で逐一分かるように書くのも野暮ってもんなのでこれはしょうがないですね。 といってもこの手の作品を過去に二、三本見たことがあるという程度で十分なレベルなのでそこはご安心を。

またエロシーンのテキストもしっかり書かれています。 といっても別段過激なプレイがあるわけではなく、 これで興奮できるかというとまた別問題なのですが、 最近のダメすぎなエロゲーに比べると説得力があるというか違和感がないというか。

ごめんなさい。上手く言えません。 なんというかアダルトビデオじゃなくて普通の映画に出てくるラブシーンって感じです。 うん。そうだやっぱり違和感がないんだ。 ハッカーなナツメとのエロシーンは激しく、わりと濃厚な描写がされていてちゃんとエロスを感じたもんな。 ただグラフィックに関してはわたしは萌えなかったです。それこそ人それぞれでしょうが。

しかしキャラよく立ってます。 主人公が所属している隊の直属の上官は凄腕ながらも普段はそれを感じさせない軽いイメージですが、これがまた渋い! まぁ、この手ではマクロスのロイ・フォッカー少佐以来のお約束(昭和50年前後生まれの世代)と言えなくもないんですが、 他にも肝っ玉母さん的なメカニックとかサイボーグ化された姉御な女兵士とか謎の美少女とかいかにも腹に一物ありそうなクールビューティーな司令官とかいかにも頭いじられてそうでミステリアスな敵女性兵士などなどなど。

お約束と言えばお約束ですがこの作品に関しては素直に王道と言ってあげたいです。 これだけのものをエロゲーマーだけのものにしとくなんてマジもったいなさ過ぎる。

つうか、何もんよ!?この開発チーム。

Joe的にはニトロプラスのファントムと並ぶ2000年ハード系の二大ゲームです。 最近ギャルゲーばっかなヌルゲーマーになっちまったなぁ。 というそこのあなた! 久しぶりに童心に返って熱いアクションゲーにはまりましょう。 しかもシナリオの方は大人も満足な出来ですよ。



戯画にサンプルCGとして挙げてあるメカニックのヨンハが夕日のハンガーの中で佇みながら主人公の機体に語りかけるシーンは胸に響く。


「・・・頼むね・・・私を、軍曹を、みんなを、守ってやってよね・・」