Last update Apr.24,2000

Noa / Blue touches blue

イスラエル生まれNY育ちの女性ボーカリスト「Noa」のデビューアルバム。
コイツはかなり一押しです。
早くも2000年(個人的)最優秀新人賞最有力候補です。
わたしのつたない表現力ではこの作品の不思議な魅力を伝えるのはハッキリ言って無理なんですが、一人でこそっと聴くには惜しすぎる名盤なので恥をしのんでアップしました。

輸入版で買ったので彼女のプロフィールなどの詳しいことは分かりませんが、これがデビューアルバムとなる新人らしいです。わたしが買った時点では日本盤は出ていないはずなので、入手は結構困難だと思われます。 ちなみに秋葉原ある「ヤマギワ・ソフト館2F」で購入しました。
試聴も出来るんで是非聴いてみてください。

¥1780で買いましたが、¥12800の価値はあります。

で、内容なんですがコレすごいっすよ。マジで。
めちゃくちゃセンシティブな作品で、ときに音が無いよりも静か。ときに地球全体をやさしく包み込むほどに雄大。 聴くたびに、いろいろな情景が目の前に広がっていきます。
ブルーズの様な「泣け!おら〜ぁッ!」という強制力は無いのですが、部屋で流しながらボーっとしながらかけていると、気が付いたときには何時の間にか涙が零れている。
一般に癒し系っていわれているようなクセの無い、聴いていてすっと入ってくる。透明感に溢れたクリスタルボイスとそれに見合った曲なんですが、この手の普通の音楽とは少し違っています。

最初はこの微妙な違和感がなんなのかよく解からなかったのですが、聴いているうちに気付きました。人による生演奏とサンプラー、エフェクターといったデジタル要素のバランスがすごいんですよ。

長調のカラッとした曲は(比較的)そうでもないんですが、やたらと思わせぶりに仕上がっている短調の曲の方はミックス、すさまじく凝っています。
購入を決意させられたTr02:can I reach youとか、タイトルトラックであるTr10:blue touches blue、あとTr11:carefullyは壮絶なものがあります。

とくにTr10はヤバイです。
さすがにタイトルトラックに選ばれるだけあってものすごい仕上がりを見せています。 カウント不可能なほどいろいろな音が重なっているのにすごい透明感があって、音像はたくさん隙間があるように聴こえる。
と信じられないことしてくれています。

ざっと判かっただけでもサンプリングした風の音、メインボーカル、コーラスとディレイ掛かりまくりのアコギによるメインの伴奏、妙に空気に溶け込んでいるウッドベース、はっとするタイミングで控えめに入ってくるピアノ、シーケンサーによるパーカス、ドラムス、とこれだけあって、さらにツーコーラス目からはエフェクトかけたマリンバ?と、スキャットによる無機的で何処までも透き通ったバックコーラス、サンプリングしたNoaの声。すべてが合わさった波動が心のひだからそっと全身に染み込んでいきます。

湖の水面に映る廃墟
岸を渡る風
麗らかなひかりのなか
聞こえる鳥のさえずり

あと、淡々としているのにゆったりとした歌メロによって、もはや宇宙規模の深さを感じさせるTr11:Carefully もおすすめです。

ダメだ〜!!
オレのダメダメな文章じゃさっぱり分かってもらえん!
ただでさえいつも音楽の専門用語連発していて、知らない人にはただの呪文と化してるっていうのに。 かといって、これをMIDIで打ち込んでも意味ないし。そもそも、こんなもんコピーできるわけない。
っていうか、相反する要素を内包しすぎっ!

とにかく詩的です。アナログなのに無機的で、デジタルなのに有機的。
力強いのに押し付けがましくない。
淡々と切ないが、胸を締め付けられるほどではなく、むしろ懐かしい。

疲れたからだとこころをやさしく包んでくれる。
音による癒しを求めているあなたに・・・