Last update Jun.20,2000

Pandra / changes

以前5th:No Regletsを紹介したPandraの最高傑作。
3rdアルバム「changes」です。

このアルバムはわたしにとってとても思い出深いもので、 進学のために上京してきて、初めて仲良くなった友人と 勉強とアルバイトとクラブ通いを両立させながらつるんで人生完全燃焼いた頃に 暇さえあれば聴きまくっていたアルバムです。

ホントあの頃は田舎に引っ込んでいたせいで十代はGuitarを弾く以外に何も出来なかった分、 遅くれてきた青春を取り戻すかのように命かけで遊んでいたな・・・

教師を目指していたその友人も、院進学確実といわれていたオレが二年ダブったせいで今では学年が逆転して院生やってるなんて人生わかんないもんだな・・・

つい懐かしくて、関係ないこと書いてしまいました。

No Regletsの紹介で書いた通り そのときの流行のビートとスウェーデンならではの煌く哀愁の北欧メロの融合した Pandra節が全開です。

で、ハードかつメロウなダンスポップチューンも良いんですが このアルバムにハマッた最大の要因は バラードです。

いや、バラードというよりも最早エレジー(哀歌)ですね。
Tr06:why と Tr12:waves of memories (epilogue) の二曲が収録されているのですが、ダンスアルバム史上最強のバラードです。
並みの癒し系のアーティストなど足元にも及ばないブッチ切りの超絶クオリティです。

1996年と結構昔のアルバムになってしまいましたが、いいメロディは不滅です。 流行り廃りの激しいダンスミュージックであってもメロさえ良ければ時代を超えて聴けます。

why
間奏に入っているサビメロをアレンジしたアコギソロは素朴ながらも絶品です。 曲の最後のサビでDmから半音上がってD#mに転調するんですが、これがまたグッと来ます。

waves of memories (epilogue)
メインのボーカルとピアノに ストリングスが時々重なってくるというシンプルなアコースティックバラードで とても美しい曲です。 このときどき重なってくるストリングスの抑えたリードがメチャクチャ効果的で たまらなく切ないです。

ボーカルのオーバーダビングは一切無いです。
初めて聴いたときは本当に衝撃を受けました。
このころのPandraは本当に声に張りが有って素晴らしいです。

それにしても本当に北欧のアーティストって、 哀しく、切ないメロディを書かせたら天下一品です。
国民性なのでしょうか?
写真でしか見たこと無いですが、あんなに美しくて寒そうなところに住んでいたら 曲も自然と透明感にあふれた美しいものになるのかな。

全編を通してピアノのボイシング(和音)とダイナミクス(タッチの強弱)が素晴らしいです。 メロディの開きの大きな対位法による間奏のピアノソロはとくに凄いです。
あと、ツーコーラス目のAメロ(02:31〜02:48)とサビ(03:23〜03:40)のテンションノートを多用したボイシングなんて並みのセンスじゃありません。 とても繊細なタッチもあいまって、非常にセンシティブな作品になっています。
また、歌詞も素晴らしいです。
この曲ピアノで弾けるようになりたいな・・・

ダンスアルバムなのにバラードだけにしか触れないのもなんですので、他の曲も。 リズムがダンス入ってるポップスなど世界中に何枚もあるんでしょうが、 そのなかでPandoraのウリはやはりメロディのよさが圧倒的に際立っているということです。

イントロを挟んでのTr02:it's all right
アップテンポでピアノをフューチャーしたPandraお得意の極上ダンスポップチューン。 イタロハウス的なピアノのノリノリなコードワークがイカしてます。

Tr03:a little bit
シングルカットされて結構流行っていた微妙にアップテンポな歌物ハウス。 メロの動きが大きくてシンガロングなBメロがイカしてます。
サビでの歌メロは二小節ごとに一拍目に思いっきりアクセントが来て、 ハウスならではの突っ込み気味なノリを巧く引き出してます。
イントロでシンセによるディストーションギタートーンが効果的に使われているのが印象的。

Tr04:the sands of time
全編にスパニッシュギターをフューチャーしたラテン系のハウスバラード。 ギターのオブリ(ガート)が激シブ。

Tr05:anything
メチャクチャノリノリでかっこいいアップテンポ歌物ハウス。
ちょっとテンポ速過ぎて、踊るにはキツイのが玉に傷。
連打によるリズムブレイクとイタロチックなピアノのコードワークがムチャ燃えます。

Tr06:anytime of season
男声ラップとレゲエのリズムを取り入れた同郷のエイス・オブ・ベイス彷彿の曲。 でも個人的にはエイス・オブ・ベイスよりよっぽど好きです。
こっちのほうがメロが数段いいです。

Tr08:smile 'n' shine
歌物イタロハウスとユーロビートの中間のようなわりと明るい曲。 わたしは基本的に長調の曲はあまり好きではないのですが、これは聴けます。

Tr09:if you want it
Tr08と同様。で、こっちはもうちょっとデジタリック。
80年代初期のジュリアナ東京最盛期彷彿な曲。

Tr10:goin' on
リズムは跳ねてるんだけどイマイチ地味な曲。
コメントに困る・・・

Tr11:love and glory
米国辺りの訳わからん流行モンのアーティストがTop40に送り込んでそうな退屈な長調曲。 これだけは好きになれない。

ともかく癒し系が好きで、ダンスポップなど何の興味も無い。 メロディ重視の方にこそ聴いて頂きたいアルバムです。
この二曲のバラードのためだけに¥2500払っても楽勝で元が取れます。

当時結構流行ったおかげで今では大量に中古屋に出回っているので、探せば絶対に ¥1000以下で買えるはずです。
でも個人的には このような名盤を創ってくれたアーティストにお金を入れてあげるために、 ぜひ新品で買ってもらいたいのですが・・・

このアルバムを聴いて気に入れば2nd:Tell the worldも聴いてみてください。 もう少しダンスミュージックとしてハードですがメロはいいので気に入られると思います。