Last update Apr.06,2000

TEASTAMENT / The Gathering

うお〜!燃えるっ!!

今やスラッシャー最後の砦、世界で唯一のReal Thrash Metal BandとなってしまったTESTAMENT渾身の力作。ジャンルとして90年代初頭にはとっくに終わってしまったスラッシュメタルからエクストリーム・ミュージック界に浴びせる起死回生の一撃。
スラッシュ史上最強アルバムです。

以前ならSlayerの「レイン・イン・ブラッド」がスラッシュメタルへの踏絵的作品として、

「このアルバムを聴いてカッコいいと思わなければ、一生スラッシュメタルを聴く必要はない」

と言われていましたが、これからはこの「The Gathering」の一曲目「D.N.R.(do not resuscitate)」を聴いて血が騒がない人間は一生スラッシュ聴く必要ありません。
と個人的には言うことに決めました。

マジめちゃくちゃ燃えます。煽情力ありすぎです。これほど怒りという感情をゆだねられる音楽はありません。

ラップやレゲエ、Hip Pop、パンクといった音楽にも怒りに満ちた作品は多々あるのですが、爆発する怒りや炸裂する破壊衝動といった直接的な怒りの表現に関して、スラッシュメタルを越えられる物はありません。 この有無を言わさぬ疾走感はメタルにしか出せません。例えスピードが倍速かったとしてもパンクでは勝負になりません。

音楽における外向的な怒りの表現において、他のジャンルに比べてスラッシュメタルが優れているのは、速くて巧くて曲が練られているという点です。
「それは怒りとは関係ないんじゃないの?」といわれそうですがそんなことはありません。

スラッシュメタルとはヘビーメタルの美学の一つである疾走感を極限まで高めるために考案された音楽なので、音造り、曲の展開、歌詞、リズムパターン、ギターソロ、ベースライン、とにかく音楽を構成する要素のすべてが疾走感の追求のためだけに存在しています。
したがって、本当に演奏が巧くて、あたまイッチャッているバンドによって繰り出される、言語道断にして阿修羅級のヤバイ感覚は何物にも替え難いものがあります。

で、このTESTAMENTの演奏力ですが、知っている人にとってはこんなこと書くのも愚行って感じの凄いメンツがそろっているので、バッチリです。 しかも今回はエクストリームメタル界最強のリズムタッグ、デイブ・ロンバートとスティーブ・ディジョージオが参戦しています。
まぁ、スティーブに関しては別にわざわざ彼がベースを弾かなければいけないような曲はほとんど無いのでこれといって語ることも無いのですが、ドラムのデイブ・ロンバートについてはさすがに無視できません。

っていうか、このアルバムのヤバさの大半を担っているお人です。

このデイブ・ロンバートは元々前述したSlayerというバンドのドラマーで、80年代中盤にへービーメタル界の最強ドラマーとしてその名を馳せた人です。
で、Slayerというバンドは当時のスラッシュメタルブームの中でアンダーグラウンドからメジャーシーンに踊り出たMegadeth、Metallica、Anthrax、Slayerの俗に言うスラッシュ四巨頭の中でも、最も野蛮で直球勝負なスピードにとり付かれた、最もスラッシュメタルらしい曲を演奏するバンドとして高い支持を得ていました。
まぁ、なんといってもバンド名がそのまんま人殺しですから・・・

で、この野人ドラマー(ホントは結構知的な人らしいのですが、あのプレイを聴いていると・・・)デイブのThe Gatheringにおけるプレイは、ええ、阿修羅級です。これ腕二本で足りるんでしょうか?
いや、そんなテクニックのことよりも重要なのは、音です。まぁ、十年前ならいざ知らず21世紀にもなろうかという、このご時世においては譜面的にデイブのプレーを再現できる人間は結構いるのですが、このタイトでパワー感に溢れたドラミングは彼にしか出来ません。とくにスネアやタムのド迫力な連打時のキレはハンパじゃありません。「ドカ・バキッ!」って感じでドラムキット壊れそうな勢いです。

とりあえず、誰かブチ殺したいほどムカついたときにはこの「D.N.R.(do not resuscitate)」を爆音でかけて、叫びながらギターを狂ったようにかき鳴らすと3分31秒後にはさっぱり、すっきりと忘れられます。
ストレスの溜まりがちな現代人におすすめです。
もっとこのバンドがメジャーになって、聴かれるようになれば犯罪も減少すると信じています。

この曲のおかげでわたしは未だ、犯罪者にならずに済んでいます。