| 教育と仕事 松木善勝 
 先生は、教えるのが巧い。 
 幼い僕の興味のツボをこれでもかってガッチリ押さえ
 楽しいなあと興奮している土壌に知識の種を植えていく。
 
 僕が学校を卒業するころには種は芽生えて立派に育って
 僕の一生の仕事の枝葉になっていく。
 
 僕はこの楽しい仕事をやりつづけ途方もなくたくさんの時間を費やして
 大きな成果の実をどんどん社会に送り込んでいく。
 
 僕の腰が曲がって、近くも遠くもただボンヤリとしてそれでも僕は仕事をするだろう。
 それが僕だった。それが僕だった。
 
 そして僕が一生を全うし、土に帰るとき
 先生、僕を迎えに来てください。
 僕は先生に「ありがとう」を言いたかった。
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