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はるさめ

猫目石


ほとほととかおる雨はほのあたたかく

ヒナの持つやわらかな灰色のような中を

決して鋭く光りはしない銀色の筋が

細くいくつもいくつも横切っては消え

てのひらの水たまりに

2次元シャボン玉をつくっては遊ぶ



傘は

さしません

持っていないわけじゃないけれど

私は顔をふせずに

背筋をのばして白線の上を綱渡りします

春の雨にぬれながら

含み笑いをして



ほとほととかおる雨はほのあたたかく

私の体温にほどなく馴染んでいく



はんなりと

春の土の匂いがする



作者紹介/猫目石。傘をささずに雨にぬれる時は顔を伏せない。そうするとなんだか楽しくなる。で、遠回りして風邪をひく…となるとマヌケでそれもまたよしとしよう…。よしとするほかないじゃないか…。