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ひなたぼっこ(仮)またはひよこごっこ(仮)

砂布巾


年くったよぼよぼの犬がふらふらと歩いてて

不運にも車にひかれてしまうように

明日にもぼくののらりくらりな人生に

突然にピリオドが打たれたって

それはそれで構わないことだし

むしろそういう未来が約束されていれば

このままなんにもしないでいられる


わからないから生きなくちゃならない

性に合わないことにまで手を染めて

あちらこちらへ手を出して

そのうちわけがわからなくなってきて

やっぱり投げ出そうかと

できないことを考えてまた

ふらりふらりとなにげなく生きている

はっとするようなことあったような

もうとっくの昔に見たような

生まれてこのかたなかったような

鮮明な記憶のにおいがかすかに

かつてぼくにあったような

感覚を覚い出そうとして生きている


生まれる前には知っていたような

実は今でも時々それと気付かず夢見ているような

それはまるで

もつれてからんだ毛糸をほぐすような

念入りに隠れた子を捜すような

見えないけれども確かにあった

ちょっと隠れたひなたぼっこ(仮)がずいぶんともう長いこと

思い出の実家に帰っている

ひなたぼっこ(仮)は日向ぼっこにあらず

本当の名前が売り切れだったので

実は近所の本屋で取り寄せてもらっている

予約待ちがずいぶんとあるそうな

まあ ひよこごっこ(仮)よりはいいような気がしている



作者紹介/砂布巾。どうも初めまして、砂布巾です。『スナフキン』と読んでください。詩を書き始めて8年目、もう結構経ちますねえ。何気によんでいただける詩を目指していますので、よろしくお願いします。