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重い水 猫目石 湿度が高くなってきました 気温も春めいてから随分と経ち 冬物をもうすっかりしまう頃となりました 重さを孕んだ風に 髪はあまり心地よくはなびかずに 私はぽっかりと 雨が降ることを望みました 雨さえ降れば 風は軽やかに 空気は清澄になるだろうと 雨音を聞きながら横たわる 水槽の中にいるようで とても落ち着く 砂におなかをつけてまどろむ 金魚のように息をつく 雨がやみ風は軽やかに空気は清涼に 月はきりりと孤高に昇り 私はそれでも水槽の底からはいだせずに 見上げているのだ 重い風にも軽やかな風にも なびききらない私の髪は ゆらゆらと水底に踊っています |
作者紹介/猫目石。前掲載詩 「金魚午睡」の鬱バージョンか…。途中から気持ちが突然ディープになったという例かも; |