詩人達の部屋

詩人ギルド

リンク

作者へメール


重い水

猫目石


湿度が高くなってきました

気温も春めいてから随分と経ち

冬物をもうすっかりしまう頃となりました



重さを孕んだ風に

髪はあまり心地よくはなびかずに

私はぽっかりと

雨が降ることを望みました

雨さえ降れば

風は軽やかに

空気は清澄になるだろうと



雨音を聞きながら横たわる

水槽の中にいるようで

とても落ち着く

砂におなかをつけてまどろむ

金魚のように息をつく



雨がやみ風は軽やかに空気は清涼に

月はきりりと孤高に昇り

私はそれでも水槽の底からはいだせずに

見上げているのだ



重い風にも軽やかな風にも

なびききらない私の髪は

ゆらゆらと水底に踊っています



作者紹介/猫目石。前掲載詩 「金魚午睡」の鬱バージョンか…。途中から気持ちが突然ディープになったという例かも;