|
|
|
|
夜の薄荷 猫目石 夜の風には薄荷がまじる つき刺す陽射し 目を焼くひかり 重たい湿度 濃厚な空気のまひる 半ばもうろうと淀んだ戸外に立ちつくしながら 私は呆然と 北半球が太陽と親密になりたがる時節というのを 恨んだりしてみるのだ けれども 夜の風には薄荷がまじる 私の素足に染み込んでいく 一体いつどこでこんな薄荷を混ぜるのだろうと あのまひるのどこに薄荷が隠されているのかと 私は不思議に思うのだけれども アゲハチョウの落とした影 日に透ける葉脈の裏 暑さの為の私の午睡に 夜の薄荷は隠されている |
作者紹介/猫目石。薄荷と書いて「ハッカ」と読みます。 ひんやり清涼な風が心地よし。そんなこの頃。 |