詩人達の部屋

詩人ギルド

リンク

作者へメール


洞穴

葉月京


ここはどこだろう


このごつごつした手触り

こんな岩に囲まれた暗い

洞穴の中で

(暗いとわかるほどの

微光の中で)


何しにここまで来たのだろう

もはや足元の感覚さえ

曖昧なまま


宇宙の真ん中にいるように

知らない星を探す仕草


(今垂れたひとしずくの水音は

どこまで響くの)


異界の磁場に迷い込んだ

渡り鳥のように

ふらつくことなく

海か陸のいずれかに

向かっていることを

自覚しなければ


とりあえず

閉所嫌いのわたしを

思い出さなければ


さあ呼吸だ

さあ発声だ


あの

光だ



作者紹介/葉月京。近頃パーマがとれてきて。