かがみ
葉月京
困ったことに
ここにはちょうどいい鏡がない
曇った空をかくす
ねこじゃらしが好きだったの
メープルシロップみたいな
他愛もない愛
忘れ形見を
おへその下にかくして
あの丘を越えたスリリングなまなざし
もったいないからそのままでいて
映してほしいものは
まだたくさんある
この空にはめ込んでしまいたい
常に気高くあるために
透明な枠
なにもない虚空に
湛えた水
水
もう
少しだ