long cold summer vacation びにいる ぼくが午前中で 授業を抜け出すのを 知っていたように 学校の前には 赤い軽自動車が止まっていて ぼくを真冬の海へ 連れ去ってしまうのだ 「赤ちゃんできちゃってさ〜ヤツと結婚するわ〜」 それだけ言って黙々と 真冬の海に近ずいて 赤い軽自動車に負けないくらい 真っ赤な長い髪に まじめな顔は 似合わないなとおもったんだ 冬の海ってのは ぼくの手の中くらい 空っぽで寒いだけ あの時 ぼくが 「冬の海のほうが好きだ」 って言ったのを 覚えていてくれたのかどうか 彼女ときたら 裸足になって 真っ赤な長い髪踊らせて ご機嫌で その姿ときたら 当社比で15.8倍の きれいさで カメラのフィルムに 焼きつけたくなったほどで 「けんちゃんって、AB型だよね〜」 「・・・ああ・・」 「やっぱりだね〜〜、じゃあ、大丈夫 ヤツもAB型だし〜、キャハハハハハッ」 彼女の姿は当社比で15.8倍の 美しさで こういう時なんて言ったらいいのか 学校じゃ教えてくれなかった ぼくときたら 彼女のおなかにいるヤツと同じくらい コドモで 何もわかっちゃいないんだ 冬の海くらい空っぽなんだ 真っ赤な長い髪の彼女は 冬の海ってテーマで デタラメな歌を 口ずさんで踊ってる あの時だって 「アイシテル」の一言も 言えなかった ぼくは・・・空っぽなコドモだ・・ |
作者紹介/びにいる。毎日毎日ごにょごにょ書いててMac買ったんでまあ こんなかんじです。 |