冬月
日下真魚
蒼く冷たい
電光を放つ外灯が
どこまでも連なる冬の夜道で
虫のような
白い吐息を洩らし
自転車を滑らせているキミを
薄っぺらいお月様が
微笑して攫おうとするから
決して油断してはダメだよ
怪しい光に惑わされ
溺れたり沈んだり
押し潰されたりしてはダメだよ
ましてや
からっぽの瞳に
水を湛えたりしてはいけないよ
零れ落ちた
抱えきれない悲しみに誘われ
冬月が ホラ舌を伸ばしてる