詩人達の部屋

詩人ギルド

リンク

作者へメール


結婚式

千里圭


一瞬泣くかと思った

でも

不景気な顔をしたままで

先輩の結婚式は終わった


親しくはなかったし

これ以上いたくもなかったので

すぐ帰途についたけど


服を脱いで手が出たのは

部屋の片隅にある

アーリー・タイムス


喉が焼けて

胃が焼けても

涙をこぼすことなんて

とても出来なくて

ただ ぼうっと

もらってきた花を見てる


ふと

次に幸せになれるよ

そういって

わざわざ花を分けてくれた

おばさんの顔を思い出して

皮肉な形に口がゆがむ


きっと なれないと思う

私の幸せはある意味

先輩の形をしていたのだから

それが全ての幸せでないにしても


その分

横にいるあの人が幸せになれるように

本気で祈ってしまう自分が

取り繕っているようで

少し悲しい



作者紹介/千里圭。最近、いいのがかけたらとがんばっていますが、どうしても質よりも量のようです。とほほん。