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JOB

琴似 愛


1度だけ唇にのせた似合わない口紅のように

夜を渡り歩いて

破り捨てた写真のように散らばった色彩の

洋服達に袖をとおす


町外れの交差点に立ち

夜風に昨日を流してしまう

マスカラのダマを気にしながら

スーパーモデルが春夏コレクションで

決め損ねたポーズを試す


近づいて来た獲物には

空き巣狙いのように狡猾に

Candyをねだるブロンドの美少女のように

しなだれついて

ハリウッド女優のように

掃除夫に隠れてHotelへ滑り込む

骨抜きにしたらあとは

好きにあしらってやればいい

望まれた穴を開いて

蜜でからめてやればいい

札が舞い始めたら仕事は終わる

それは朝が来れば終わる仕事



作者紹介/琴似愛。「クール&グラマラス」をコンセプトに、アンダーグラウンドな活動を続けるオルタナティヴ詩人。