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肥  (こやし)

きつね


  久遠の花園

  或る夜男が迷い込む



  
  百歳の花  百歳の蜜

  万年の花  万年の蜜


  神代の蜜 ひとたらし

  その甘やかさ まろやかさ

   男の一生狂わせる


  千年の花 億歳の花

  花は散らない

  蜜、一垂らし



 
  今日も明日も消えました



  
  花の香りに酔いました

  蜜の甘さに囚われた

  腰の砕ける深酔いに

  蜜の前から動けない



  男はそうして帰れない

  花の虜で果てました


  花はますます咲き誇る



作者紹介/きつね。私は自分の作品の中のこの男ほどに囚われる物をまだもちません。或る面でこれほど捕らわれるということは動物的本能の中で食物連鎖を絶対善と見なしているのかもしれません。