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世界の扉 神凪綺羅 僕は君に必要とされたかった ただそれだけだったのに 何時からか君を束縛する愚かなものになりさがった 君に少しでも特別にされているという意識が 君が笑いかける全てのものに反発し 僕が最も嫌う嫉妬の塊となる 今思えば君の「好き」という感情は決して「特別」ではなかったのに どうか僕を捨てて 頭でどんなに理解を深めてみても 感情が瞬く間にそれらを打ち壊し 醜く膨らんだものを肯定する どうか僕を捨てて 君の心が僕を嫌悪する前に ほんの少しの優しさで僕を見放して 君の前に僕に無関係の世界が広がり たくさんの手が君を引き込んでゆく 僕はただこの場所を動かずに 君が去った後放置されるだろう僕の世界の扉を 閉める準備を進めている 君のそばにもう僕がいない |