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ツキアカリ、ネコハカゲ。
リョヲ |
星は月の光にかくれてしまって、あたりは夜のむらさき。
僕は夜の船に乗って、どこか遠いところへ流れてしまおう。
ネコの君は陰にのまれ、真っ黒なまま船の隅でゆられて。
だから君の名前は「ヤミヨ」にしよう。
名前がないと不便だから、呼んだら返事してくれよ。
僕はずっとこの夜を追いかけていこう。
そしてこのまま、たゆたって、たゆたって、きっといつか、この世界から消えてしまうんだろう。
君は僕をさがして旅に出る。夜から夜へと続く、ヤミヨの旅路だ。
旅の途中で見失うといけないから、そうだ、せめて歌っておこう。
僕が消えても、歌声は、水に溶けて、夜がすいこんで、ずっとずっと残るから。
君は僕の歌を追って、幾つもの見知らぬ街を彷徨い歩く。街を越え、森を抜けて、海を渡って。
ヤミヨはネコだから、一緒に歌えないからねぇ。
だから君は聴いているだけでいい。
そしていつか、たとえ地獄なんかでだって僕らが逢ったら。
その時は、君をシャツの中に抱いて、一緒に明日から逃げようねぇ。
作者紹介/リョヲ。リョヲです。 |